リニア中央新幹線(以下、リニア)について取材する機会を得た。やはり興味深いのはその浮上原理である。リニアでは浮上走行のために、列車の超電導磁石と地上のコイルとの間に生じる磁力を利用する。ただし、地上側で浮上用の電磁石として働く「浮上案内コイル」には、外部から給電しないという。一体どのような仕組みなのかJR東海に聞いた。
電磁誘導の原理で浮上
時速500kmで走るリニアの列車は、常に浮上しているわけではない。時速約150kmに達するまでは車輪で走行し、それを超えると磁力で浮上する。電磁誘導の原理を利用する。電磁誘導といえば、例えばコイルに棒磁石をゆっくり出し入れしても電流は流れず、高速で出し入れすると電流が流れ始めるといった現象である。
「棒磁石はリニアの超電導磁石、銅線を巻いたコイルは沿線の浮上案内コイルに当たる」――。同社中央新幹線推進本部リニア開発本部山梨実験センター所長の古賀俊作氏はこう例えて説明する。
浮上案内コイルはその名前の通り、浮上用のコイルである。U字型の走行路「ガイドウエイ」の左右両側に並び、列車の側面から浮力を生じる。電気抵抗がゼロで電流が流れ続ける超電導磁石が通過すると、浮上案内コイルは電磁誘導によって電磁石となる。この一時的な電磁石と列車の超電導磁石との間に反発力や吸引力が働き、列車は浮上する。
過去にはガイドウエイの下に設置したコイルとの反発力で浮力を与える方法も検討されたが、実験を経て現在の側面から浮力を与える方式となった。側面からであれば、吸引力と反発力の両方が使えるため浮力が増し、客室の空間も広くなるといった利点があるそうだ。
なお、地上のガイドウエイには浮上案内コイルとは別に、走行用の「推進コイル」と呼ぶ設備も並ぶ。こちらは外部からの給電で電磁石となり、超電導磁石との間に磁力を生む。つまり、リニアでは列車を前進させる推進コイルと浮上させる浮上案内コイルを用いるが、前者は外部からの給電で動作し、後者には給電しないという違いがある。
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