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輸入バイオマス発電の将来、問われる持続可能性

日経XTECH / 3/17/2026

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Key Points

  • 世界的なバイオマス発電の拡大に伴い木質ペレットやPKSの需給が逼迫し、円安も燃料価格を押し上げて輸入バイオマスの持続可能性が問われている。
  • 中部電力は2026年1月20日、米子バイオマス発電所を撤退すると発表。2023年の火災後の復旧費用が大きく事業継続を断念した。
  • 国内の他のバイオマス発電所でも撤退・停止が相次ぎ、鈴川エネルギーセンターは2024年12月に停止、2025年9月にゼロワットパワーが買収・再開を公表した。
  • 固定価格買取制度(FIT)24円/kWhの支援にもかかわらず、復旧・対策費用と市場環境の悪化で長期運用は難しいとの見方が広がっている。

事故を機にバイオマス発電を断念

 海外から輸入した燃料を使ったバイオマス発電の持続可能性が問われている。世界的にバイオマス発電が増えていることで、木質チップやペレット、パームヤシ殻(PKS)の需給がタイトになっていることに加え、円安により燃料価格が上昇している。

 中部電力は2026年1月20日、鳥取県米子市のバイオマス発電事業から撤退すると発表した。2023年9月に発生した火災により運転を停止していた「米子バイオマス発電所」の再開に向け検討していたが、復旧・対策費用が多額になるなどの理由により事業継続を断念したという(図1)。

図1●完成当時の「米子バイオマス発電所」
図1●完成当時の「米子バイオマス発電所」
(出所:中部電力)
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 同発電所は、中部電力と東急不動産などが出資し、2022年4月に営業運転を開始した。出力は54.5MWで、燃料は主に米国・ベトナム産のペレット、インドネシア・マレーシア産のPKSだった。2023年9月9日に燃料の受け入れ搬送設備で火災・爆発が発生したことを受け運転を停止し、事故原因の究明と再発防止策の策定に取り組んできた。

 「米子バイオマス発電所」の継続断念はもちろん火災事故が直接的な原因だが、固定価格買取制度(FIT)で24円/kWhという支援を受けても、復旧・対策費用を乗り越えることが難しいと判断するほど、事業環境が悪化していることを物語っている。

 国内の輸入バイオマス発電を巡っては、2020年前後からパーム油発電で撤退が相次いだほか、2024年12月に静岡県富士市にある、出力112MWのバイオマス発電所「鈴川エネルギーセンター」が発電を停止した。同発電所には三菱商事クリーンエナジーなどが出資し、北米産の木質ペレットを燃やして発電するバイオマス発電所として運転していた。

 その後、2025年9月にゼロワットパワー(千葉県柏市)が同発電所を買収し、運転を再開すると公表している。海外輸入バイオマスによる発電事業の将来性が不透明になり、企業によって評価が割れていることが分かる(図2)。

図2●完成当時の「鈴川エネルギーセンター」
図2●完成当時の「鈴川エネルギーセンター」
(出所:三菱商事)
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