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市街地を包囲する林野火災の脅威、大船渡では納屋などが延焼経路に

日経XTECH / 3/18/2026

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Key Points

  • 2025年2月に岩手県大船渡市で発生した林野火災は3370ヘクタールを焼損し、60年ぶりの規模となり、2026年2月時点で発生から1年が経過した。
  • 延焼は市街地近接まで及び、住家90棟のうち54棟が全焼、非住家136棟のうち121棟が全焼するなど甚大な被害となり、死者1人を出した。
  • 出火地点は赤崎町合足地内と特定される一方、経緯は不明で、飛び火が延焼の主要因とみられ、出火場所から約2km北東の地域でも飛び火による火災が少なくとも9件確認された。簡易構造物の脆弱性が指摘され、25年2月にも同地区で火災が発生していた。
  • 国内で林野火災の延焼が相次ぐ中、今後の備えを強化するべきとの警鐘が高まっており、写真や図などの資料を通じた延焼範囲・脆弱性の検証が進んでいる。

約3370ヘクタールが焼損し、過去60年で最大規模となった岩手県大船渡市の林野火災から2026年2月で1年が経過し、延焼の経緯や防火上の弱点などが浮かび上がってきた。大船渡の火災からわずか1年程度の間に、市街地に近接した林野火災が、全国で多発している。今こそ林野火災への備えを強化すべきだ。

 岩手県大船渡市で2025年2月に発生した林野火災は、3370ヘクタールを焼損した。総務省消防庁と林野庁の資料によると、国内における単独の林野火災として、1963年に福岡県香春町(かわらまち)で発生し、6160ヘクタールを焼損した林野火災以来の規模だ。過去60年間で最大となる〔写真1〕。

〔写真1〕ヘリによる消火活動
〔写真1〕ヘリによる消火活動
2025年2月26日に発生した岩手県大船渡市の林野火災現場ではヘリコプターによる消火活動が行われた。同市で2025年3月3日午後0時27分に撮影(写真:共同通信社)
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 延焼の過程で、被害を受けた住家90棟のうち54棟が全焼した。非住家については被害棟数136棟のうち121棟が全焼だ。この火災で1人が死亡した。

 火災は2025年2月26日に発生し、40日後の4月7日になってようやく鎮火に至った。総務省消防庁の資料によると、出火場所は大船渡市赤崎町合足地内と特定されているものの、出火に至る経緯などは分かっていない。この地域では、25年2月19日にも火災が発生していた〔図1〕。

〔図1〕火元の数キロメートル先まで延焼
〔図1〕火元の数キロメートル先まで延焼
岩手県防災航空隊が目視により描いた図から作成した、おおよその延焼範囲(出所:総務省消防庁の資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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 総務省消防庁が25年7月に公表した大船渡市の林野火災に関する調査報告書によると、飛び火が原因で建物に延焼したケースが多数見られた。例えば、出火場所から約2km北東の同市三陸町綾里港地区では、飛び火が原因と考えられる建物火災が少なくとも9件発生した〔写真23〕。

〔写真2〕飛び火に対して脆弱な簡易構造物
〔写真2〕飛び火に対して脆弱な簡易構造物
左は防草シート上に落下した火の粉の飛散状況。中央と右は、簡易な構造物の被害状況。こうした構造物は飛び火に対して脆弱だと考えられる(写真:国土交通省国土技術政策総合研究所、建築研究所)
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〔写真3〕林野に近接していなくても延焼被害
〔写真3〕林野に近接していなくても延焼被害
飛び火による複数の火災が同時多発的に発生したと見られる大船渡市三陸町綾里港地区の被災状況(写真:国土交通省国土技術政策総合研究所、建築研究所)
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 建物被害を分析した建築研究所防火研究グループの鈴木雄太主任研究員は「林野から建物までの最短距離が30m以上あっても、一定数の全焼被害が出ている。こうした傾向に、飛び火の影響が表れているのではないか」と考察する〔図2~4〕。

〔図2〕遠隔地まで延焼させるメカニズム
〔図2〕遠隔地まで延焼させるメカニズム
火の粉が生成・飛散し、着火するまでのメカニズム。引火温度に達するエネルギーを持っている火の粉が可燃物に落下すると着火する。建物の場合、瓦屋根や軒裏などに着火する可能性がある(出所:総務省消防庁の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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〔図3〕森林に近いほど建築物の被害は甚大
〔図3〕森林に近いほど建築物の被害は甚大
森林エリアからの最短距離と、焼損被害率などの関係を表す。焼損被害率は、国土技術政策総合研究所と建築研究所が調査した建築物など全体のうち、現地調査で「全半焼」と判定、あるいは衛星画像の判読によって「火災被害あり」と判読された建築物などの割合(出所:国土交通省国土技術政策総合研究所、建築研究所の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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〔図4〕森林エリアと建築物の地理的関係
〔図4〕森林エリアと建築物の地理的関係
10mメッシュで土地の被覆情報などを区分した地図データから、一定以上の面積を持つ林野部分を抽出し、建築物などとの最短距離を計測した。距離が短いほど、林野火災から相対的に多くの飛び火や熱の影響などを受けていたと想定される(出所:国土交通省国土技術政策総合研究所、建築研究所の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 総務省消防庁の報告書では、火災初期の激しい延焼が、多量の火の粉を発生させたと分析している。火災は最大瞬間風速18.1m/秒の強風を受けて東へ拡大。火災を覚知した午後1時2分からわずか1時間以内に、火元から東へ約1.2kmの地点の林で激しい燃焼が起こり、火の粉を含む濃煙が発生したことが確認されている。

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あらわになった防火上の弱点

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