この記事の3つのポイント
- 高温超電導磁石を採用し、冷却の仕組みを簡素化
- 超電導状態が壊れるクエンチ対策は万全と、信頼性に自信
- 「最後まで残った技術課題」は非接触給電で解決
リニア中央新幹線(以下、リニア)の目玉といえる技術が、超電導磁石による浮上走行だ(図1)。冷却すると電気抵抗がゼロになる超電導磁石を用いて強力な磁界を発生し、地上のコイルとの間に生じる反発力や吸引力を利用して列車を浮かせる。開業に向けて、JR東海は走行試験を積み重ねながら超電導磁石の改良を続けてきた。
同社が営業線で採用を目指しているのが「高温超電導磁石」だ。従来の低温超電導磁石よりも高い温度で超電導状態になるため、設備の簡素化や冷却電力の削減が期待できる。低温超電導磁石では高価な液体ヘリウム(-269℃)による冷却が必要だったが、高温超電導磁石では要らなくなる。
「2025年に走行試験の目標距離を達成した。これでいけるというところまで来ている」――。同社中央新幹線推進本部リニア開発本部山梨実験センター所長の古賀俊作氏は、リニアの浮上走行に用いる高温超電導磁石の信頼性について、手応えを感じていると話す(図2)。
リニアの実用化に向けて必要だったのは超電導磁石の技術だけではない。古賀氏が「最後まで残った技術課題」と語るのが、列車への電力供給である。時速500kmで浮上走行するリニアには、周囲との接触を伴うパンタグラフや車輪が無い。列車内の照明や空調、超電導磁石の冷却に必要な電力を外部から供給する、新たな仕組みも必要だった。
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