次世代の光ファイバー技術として、光が通る中心部のコアが空気でできた中空コア光ファイバー(HCF:Hollow Core Fiber)の開発が進展している。近年のAI(人工知能)データセンターのニーズの高まりを背景に、実用化に向けた開発が進められている。米Microsoft(マイクロソフト)や中国大手が先行する。
中空コア光ファイバーは従来のシングルコア光ファイバーと比べ、主に4つの長所を持つ。(1)伝送遅延を3割以上削減(2)減衰係数(損失)を従来の理論限界より下げられる(3)信号品質に影響を与える非線形性を1000分の1に削減(4)高いエネルギー密度でも壊れない――といった点だ。
長距離のネットワークにおける中継増幅器を減らせるため、設備投資と運用コストを削減できる。加えて低遅延や低損失な特長を生かし、クラウド処理や分散コンピューティング、証券取引における高頻度の通信といった用途での活用が期待されている。
米Research and Markets(リサーチ・アンド・マーケッツ)は、中空コア光ファイバー市場が2026年から2030年まで年平均成長率(CAGR)16.4%で拡大し、26億ドル(約4100億円)規模に達すると予測している。
名古屋工業大学大学院工学研究科教授の菅野敦史氏によると「アイデア自体は光ファイバーの黎明(れいめい)期からあったが、ここ数年でようやく実現できる可能性があるとして注目を集めている」という。進展した背景には、ガラスの精密加工技術の向上や数値シミュレーションの高性能化がある。
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