建築基準法が障壁となり、建設3Dプリンターの適用範囲は限られている。ここにきて国土交通省が規制緩和に乗り出し、変化の兆しが見えてきた。2026年度は3Dプリンターの大きな転換点になり得る。
適用例が積み上がってきたとはいえ、建設3Dプリンターにはまだ普及を阻む多くの壁が存在する。例えば、製作した部材を建築物の構造体に利用できて初めて真価を発揮するが、法規制の課題が横たわる。
モルタル系材料は指定建築材料に該当せず、構造耐力上主要な部分には使えない。構造体として利用するには、建築基準法20条に基づき建築物ごとに大臣認定(以下、20条認定)を取得する必要がある。
この状況が2025年度中に変わる可能性が出てきた。国土交通省が規制緩和に動いたからだ。「3Dプリンター対応検討委員会」が24年に取りまとめを公表し、モルタルで造形した型枠を構造部材として扱う場合に、スムーズな設計・施工を可能とするよう、国の対応方針を示した。
国交省は25年8月、特殊な構造方法や建築材料を規定する建基法38条に基づく大臣認定で、新材料を扱える見解を示した。建物の一部に3Dプリント部材を用いる場合も認定を取得可能で、材料の長期的な性状が明らかでない場合もモニタリングなどの条件付きで受けられる。
取りまとめでは、構造安全性の確保が容易な小規模建築物(延べ面積200m2以下の平屋)について、仕様規定を策定する方針が示された。いわゆる3号建築物に該当するため構造関係規定などの審査を省略でき、仕様規定にのっとった設計であれば20条認定なしでも建設可能になる。
中・大規模建築物では、法令に強度の定めがない新材料を使うと構造計算ができない問題がある。そこで、事業者が材料ごとに設計・施工マニュアルなどを定め、国に申請すれば強度指定を受けられるようにする。
取りまとめでは25年度中に関連告示を整備して仕様規定や材料強度指定制度を創設する予定とした。もっとも、国交省住宅局参事官(建築企画担当)付の柳沢圭祐課長補佐は、「新材料は未確定の部分が多く、規定や評価方法を策定するのは容易でない」と述べる。対応は26年度にずれ込む可能性がありそうだ。
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