ディーゼルエンジンが姿を消しつつある。世界的に見ても、乗用ディーゼル車の販売台数は確実に減少している。かつてのディーゼル王国・欧州では、販売台数がピークから73%も落ち込んだ。だが、一消費者として本当に「ディーゼルは過去の存在」と言い切ってしまっていいのだろうか。マツダ「CX-60」で長距離を走りながら、逆風の中にあるディーゼル車の「いま」を確かめてみた。すると、驚きの燃費が計測できた。
元々、欧州は日本のハイブリッド車(HEV)に対抗するため、ディーゼル技術の高度化に国家・産業を挙げて取り組んできた。コモンレール化やターボ技術の進化により、かつてのうるさい・環境に悪いというイメージも払拭し、「クリーンディーゼル」といううたい文句で欧州市場では乗用車の主役にまで上り詰めた。
ディーゼル車衰退の元凶となったのがドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)による排ガス不正問題「ディーゼルゲート」である。2015年9月、排ガス試験時のみ浄化性能を高める不正ソフトウエアの存在が発覚。環境性能を武器にしてきたディーゼルの信頼は一気に失墜した。
加えて、欧州委員会(EC)の厳しい環境規制がこれに追い打ちをかける。次期排ガス規制が2026年から始まると尿素噴射装置2つが事実上必須とされ、元々ガソリン車よりコストが高いディーゼルに、さらなる負担がのしかかる構図となった。
こうして欧州メーカーはディーゼル車から電気自動車(EV)へと大きく舵(かじ)を切った。ただし、EVは構造が比較的シンプルで、エンジン車のような燃焼・加工技術の蓄積を必要としない。参入障壁が比較的低い。その結果、エンジン車では日欧勢に後れを取っていた中国メーカーが、電動車市場で急速に存在感を高めるという逆転現象が起きている。
ディーゼル乗用車は、今後さらに縮小していく可能性が高い。商用車や一部の大型車を除けば、ラインアップから静かに姿を消していくのかもしれない。だがそれでも、ディーゼルにしかない価値は確かにあるはずだ。カタログスペックではなく、実走でそれを確かめてみたい。そこで今回、マツダのCX-60を借り出し、876kmを一気に走破。その実燃費と走りの質感から、ディーゼルの現在地を探ることにした。
試乗したのは排気量3.3L、直列6気筒ディーゼルエンジンに48Vの簡易ハイブリッド機構を組み合わせたグレードである。走行ルートは約8割が高速道路、残りの2割が一般道。走行前に満タン給油し、走行後に再び満タンにして実使用燃料を計測する、いわば昔ながらの満タン法で燃費を算出した。ドライブモードは「ノーマル」に固定し、速度は周囲の流れに合わせる。特別なエコランはしていない。
条件は決して有利ではなかった。試乗車はスタッドレスタイヤを装着し、天候は雪。区間によっては渋滞も発生していた。さらにエアコンは25度設定。燃費という観点では、むしろ不利な要素がそろっていたと言っていい。
それでもなお、結果は驚異的だった。
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