北九州市内の商店街・旦過(たんが)市場で2022年に火災が発生してから約4年。現地では再整備事業が進む一方、被災店舗の約3分の2が市場を去った。専門家は、再整備事業をハコモノで終わらせず、かつての魅力を再構築するような復興が求められていると指摘する。市内では他の商店街でも火災が相次いで発生するなど、木造密集地の防火対策も道半ばだ。
「北九州の台所」として親しまれてきた旦過市場は長屋形式の木造店舗が並ぶアーケード街だった。2022年の4月と8月に発生した火災で、計5200m2ほどが焼損。ひとたび出火するとあっという間に大規模火災へと発展しかねない、木造密集地が抱えるリスクを見せつけた事例だ。
北九州市消防局によると1度目の出火原因は特定できていない。報道によると、2度目は使用済みの食用油と凝固剤を加熱したまま飲食店店主が外出し、出火に至ったと見られる。
旦過市場は建物の老朽化に加え、隣接する河川に一部が張り出していることから水害のリスクも抱えていた。09年と10年に河川が氾濫したことを契機に、市は土地区画整理事業や護岸整備を一体的に進める計画を開始。事業を進めていたところ、2度の火災に見舞われた経緯がある。
現地では鉄骨造の新しい商業施設を建設中だ。今後は河川沿いに残る建物も解体し、北九州市立大学と地権者が共同で、新学部が入居する建物を整備する予定だ〔写真1〕。
市の要請で復興支援に携わる九州工業大学大学院の徳田光弘教授は、「被災した店舗のうち約3分の2が廃業、または移転した」とし、建物をつくるだけでなく新しい市場の魅力を練る必要があると指摘する。
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