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「半分、固い」は結局固いのか固くないのか

日経XTECH / 3/18/2026

💬 OpinionIdeas & Deep Analysis

Key Points

  • リチウムイオン電池は高エネルギー密度で小型化が容易だが、発火リスクは長年の課題として指摘されてきた。
  • メモリー効果がないため、2次電池時代の運用上の煩わしさを解消し、携帯デバイスの利便性が向上している。
  • 半固体電池はゲル状電解質を用いると説明されるが、現時点で明確な定義が統一されていない。
  • 半固体電池は安全性を高める一方で重量増のデメリットもあり、エネルギー密度は高いままというトレードオフがある。

 「半分、青い。」というテレビドラマがあった。その主演女優が何やら私生活でトラブルを起こしたとかで一時話題となった。IT関連のモノのトラブルというと、最近はモバイルバッテリーの発火事故をよく耳にする。記憶に新しいところでは、航空機の機内での利用が国内でも禁止になったことが挙げられる。

 モバイルバッテリーを含め、昨今の充電式のバッテリーの主流はリチウムイオン電池である。これを応用したものが、パソコンやスマートフォンをはじめ、ワイヤレスイヤホンなどの小型携帯デバイスまで幅広く使われている。

 リチウムイオン電池の特徴は、高いエネルギー密度を持つため小型化が容易であること。小さい体積にため込めるエネルギーが大きい。だから携帯型の機器にはとても利便性が高い代物である。

 しかもそれまで使われていた充電式の電池(2次電池と呼ぶ)と違い、「メモリー効果」がない。メモリー効果とは、完全に放電させずに継ぎ足し充電すると、起電力の低下が起こる現象を指す。このため2次電池を長持ちさせて正しく運用するには一定の知識と配慮が必要だった。1989年に発売されたノートパソコンの初代Dynabookはニッカド電池を搭載していたので、使っていて「完全放電させろと言われてもな……」などと思ったものである。

 一方でリチウムイオン電池の危険性は、1991年にソニーが商品化に成功したころから指摘されてきた。エネルギー密度が高いということは、発火しやすいことを意味している。また電解質が液状であるため、ちょっと穴が開いただけでも激烈な化学反応を起こして発火につながる。当時、某パソコンメーカーの研究者にバッテリーパックに釘を刺して爆発的に発火させる動画を見せていただいた記憶がある。

半固体電池には明確な定義がないらしい

 このようなことをつらつらと思い出したのは、「半固体電池を使ったモバイルバッテリー」の発表会に行ったからだ。そこで聞いて驚いたのだが、「半固体電池」あるいは「準固体電池」には明確な定義がないと言うこと。具体的には電解液の代わりに、ゲル状(液体の性質は残しているが流動性をなくした状態)にした電解質を使ったものを半固体電池と呼んでいるらしい。

エレコムの半固体電池搭載モバイルバッテリー(右)とAnkerの同容量のモバイルバッテリー(左)。メーカーが違うので単純に比較できないが、半固体電池搭載のほうがやや大きい
エレコムの半固体電池搭載モバイルバッテリー(右)とAnkerの同容量のモバイルバッテリー(左)。メーカーが違うので単純に比較できないが、半固体電池搭載のほうがやや大きい
(出所:日経クロステック)

 電解質が引火性が高い液体からゲル状に変わったことで、安全性が高められるということらしい。当然デメリットはあり、若干重量が重たくなる。とはいえエネルギー密度は高いので、さほどの重量増にはならなくて済む。

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半面、安全性という点では多少不安が残る。実際電解...

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