「極東」から見る欧州開催の壁、ロシア上空閉鎖で直面する地理的制約
前回は、メダルラッシュに沸いたスノーボードで日本が練習環境の差を乗り越えてメダル獲得数を増やしてきたことを書いた。一方で、地理的要因や国の人口動態、競技人口などの観点から強化へのハードルが高い競技も存在する。それを「スポーツ地政学」の観点から読み解いてみたい。
そもそも地政学とは「地理的な条件が、政治や経済の力学をいかに決定しているか」を分析する学問のこと。スポーツでも気候や地理という物理的な制約が競技勢力図や放映権、ひいては国家間のパワーゲームを巡る重要な要素となっている。例えば、サッカーでは「放映権を巡る米国デジタルプラットフォーマーの覇権」「中東資本による欧州サッカークラブの買収」など、地図がどんどん描き替えられている。
20年ぶりの欧州開催となったミラノ・コルティナ冬季五輪の現地を訪れ、当たり前だがイタリアは遠いということを感じた。ロシアのウクライナ侵略で旅客機がシベリア上空を飛べなくなったことで、かかる時間もコストも跳ね上がって久しいが、これに原油価格の高騰や円安も重なって日本人が渡航するにはかなり厳しい条件となっている。
実際にミラノの街中でも、コルティナに近い山岳部エリアでも、日本人と見受けられる観客の数は極めて少なかった。話しかけてみると家族や友人などの関係者が多かった印象だ。
一方で、欧州では状況が異なる。ジャンプやクロスカントリー競技場で話をしたドイツ人によると、ミラノまでは飛行機で1時間足らず。今大会のメダル獲得数1位のノルウェーから来た人は飛行機で約3時間、スイス南部から来た人は車で1時間半しかかからないと言っていた。週末に家族全員で来て、観戦して楽しんで帰る。日本はやはり地理的には極東なのだと思い知る。
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