半導体製造装置のディスコが快走を続けている。人工知能(AI)向けで増える後工程装置の需要を取り込み、2025年3月期までの5年間で売上高は2.2倍、純利益は3.2倍に伸びた。2026年3月期も6年連続の最高益更新を見込む。ダイシングソーやグラインダー(研削装置)、ポリッシャー(研磨装置)のシェアは8割を超え、台湾積体電路製造(TSMC)などが同社を頼る。強さの源を社長の関家一馬氏に聞いた。(聞き手は石橋拓馬)
半導体後工程装置での高いシェアの理由をどう分析しているか。
ずばり人材だ。当社は「切る・削る・磨く」の3つの技術に注力し、そこから逸脱しないことを宣言してきた(図1)。その結果、これらの技術への執着が強い人材が集まってくるようになった。技術者はみな、担当業務に高い納得感を持って働いている。
技術者の人数自体も競合に比べて多いため、他社にできないことをたくさんできる。ヒットするか分からないネタにも手が回る。ごく一部の顧客しか求めない技術にも耳を傾け、要求に応える。地道な研究を続けることで、市場が拡大した際に我々が独占的な地位を築ける。
具体的にはどのような技術でそうしたポジションを得てきたか。
シリコン貫通電極(TSV)向けの加工装置がまさにそうだ。TSVは15年ほど前から半導体メモリーの性能を高める技術として一部の顧客が開発していた。ただし製造コストが高く、当時はコストに見合う需要がなかった。現在では、TSVはAI向けに需要が拡大しているHBM(広帯域メモリー)の製造に欠かせない技術だ。
AI向け半導体の製造では、通常の半導体と比べて高い清浄度や手厚いサポートが求められる。従来技術の延長では実現できない特殊な加工もある。我々の製品にしか実現できない加工があり、AI関連での当社の後工程装置のシェアは9割を超える。
開花する技術を見抜く先見の明があるのか。
顧客や市場の大小にかかわらず、顧客の困りごとに真摯に向き合うことが重要だ。愚直に開発する姿勢を見せ続けることで、顧客は最初に我々に相談してくれるようになる。将来を予測する必要はない。顧客の困りごとを解決する技術が、将来必要な技術なのだから。
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