目的の達成に向けて自律的に行動する「AIエージェント」に注目が集まっている。このAIエージェントを使いこなし、業務改革を成し遂げる上での勘所は何か。幅広い業界にコンサルティングサービスを提供するフォーティエンスコンサルティングが著した書籍「AIエージェント×業務改革 実践の教科書」の記載内容を基に、AIエージェントを活用した業務改革に立ち塞がる「壁」を乗り越える方法を解説する。
第1回では、AIを業務で活用するために必要な情報の読み取りを行う際の注意点について取り上げる。(編集部)
「AIが見てはいけない情報」が何か分からない!
AIを業務活用のために導入することになった。それならばとりあえず会社にあるすべての情報を読み取らせてみよう、と考える人は少ないだろう。情報漏洩のリスクなど、頭をよぎる課題は多いはずだ。それでは、AIに見せてはいけない、つまり読み取らせてはいけない情報とは何なのだろうか。この問いを整理していくことで、活用するための一つのハードルでもあるリスク観点をクリアしていきたい。
結論から言うと、AIに読み取らせてはいけない情報は大きく2つ。個人情報と営業秘密である。個人情報については、昨今の情勢を鑑みてもすぐに思い浮かぶ方が多いだろう。営業秘密はどうだろうか。確かにリスクである、という点は納得できるであろうが、同時に多少の営業秘密をインプットしなければ業務でのAI活用なんてできない、と考える人も多いのではないだろうか。
この2つについて法規制・ガバナンスによる対応という観点からどうやって整理しAIの業務活用を進めるのか考えていこう。
個人情報のうっかり「漏洩」にご用心
まず個人情報については、「個人情報の保護に関する法律」(いわゆる個人情報保護法)にて利用目的を知る機会を本人に与えずに個人情報を取得・利用する行為や、本人の同意を得ずに第三者に提供する行為は禁止されている。このことについては近年特に話題に上がることも多く、認識している人も多いだろう。この記事では特にAI活用の文脈において個人情報をどのように扱う必要があるのか、ということについて言及したい。AIを活用するにあたって、むやみに個人情報(特に本人にAIを使用することについて許諾を得ていないもの)をAIに入力する行為は、AIに学習データとしてそのまま利用され、意図せずとも外部への「漏洩」になってしまう恐れがある。
個人情報保護委員会からも「生成AI サービスの利用に関する注意喚起等」として発表されているが、個人情報を取り扱う事業者として「漏洩」を防ぐためには、今利用しているAIにおいて、①想定している活用方法は個人情報を機械学習に利用される可能性があるものではないか、②そもそも個人情報をAIに読み取らせる必要があるのか――を十分に検討する必要があるだろう。
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ただ、当然これを個人に対する注意喚起だけで済まし...この記事は有料会員限定です


