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ホンダ三部敏宏社長の脱エンジン戦略はなぜ間違えたのか、トヨタとの違いは

日経XTECH / 3/19/2026

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Key Points

  • ホンダの脱エンジン宣言とEV重視戦略が、2027年度までに最大2.5兆円規模の損失リスクにつながる見通しを生んでいる。
  • 外部要因として補助金打ち切りや規制の変動を挙げつつも、長期計画と短期リスクの整合性不足が戦略失敗の根本にあるとの指摘がある。
  • トヨタとの比較から、規制適応の柔軟性と現実的な市場戦略の差が戦略の成否を分けたと分析されている。
  • 記事はエンジン中心の強みを再考する必要性を示し、今後の全社的な戦略再設計と意思決定への波及効果を検討している。
ホンダの三部社長。一押しの新型EV「0(ゼロ)」シリーズを「全く新しいEV価値を持つ」と説明した、2024年10月に開催した会見での写真。(写真:ホンダ)
ホンダの三部社長。一押しの新型EV「0(ゼロ)」シリーズを「全く新しいEV価値を持つ」と説明した、2024年10月に開催した会見での写真。(写真:ホンダ)
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 いわゆる「EV(電気自動車)シフト」につまずき、巨額損失を計上することになったホンダ。米国市場向けEV3車種の開発中止および金型・設備の除却、サプライヤーへの補償、そして中国における持ち分法投資の減損など、2027年3月期までに最大で2.5兆円もの損失規模に膨らむ可能性がある。なぜこんなことになったのか。経営戦略の立案と危機管理に課題があったからではないか。

 ホンダの社長に就任するや否や、エンジンを廃止する「脱エンジン宣言」を華々しく行った三部敏宏社長。「エンジンのホンダ」がその強みを自ら捨て去り、2040年以降に世界で販売する新車を全てEVもしくは燃料電池車(FCV)にする。それにとどまらず、ハイブリッド車(HEV)までやめると知った時、筆者はあぜんとした。2021年4月のことだ。

 あぜんとしたのは、欧州が強引に進めるEVシフトに懐疑的だったからである。実際、EV偏重の施策に否定的な記事を書いてきた。三部社長のこの宣言の直後にそのリスクについて触れた記事を書いたほか、2023年2月には「ハイブリッドシフト」の事実について報じた。同年10月には、ホンダが米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)と進めていた量販価格帯のEVに関する共同開発の計画を白紙に戻したことに関し、「ホンダのEV戦略が迷走している」と表現した。当時、世の中にはEV推しの記者が多い中で、少数派だったと感じている。

 そして現実は、EV販売が補助金の打ち切りなどの影響を大きく受けて失速したのはご承知の通りだ。ところが、ホンダはEV販売の失速が鮮明になった2024年9月の時点でも、EVシフトを見直すどころか、逆にアクセルを踏み込んだ。

 この時、三部社長は「この数年といった短期間ではなく、長期的な視点で見ればEVシフトは着実に進んでいくと確信している」「EV黎明(れいめい)期の現在、EVの普及スピードに変動があることは、もともと織り込み済み」と強気の姿勢を見せていた。2023年度の時点でEV販売台数の実績は2万台程度しかなかったのに、年間生産台数を2030年に200万台まで増やす計画を掲げていたからだ。

 そして今、三部社長の脱エンジン宣言は、数兆円規模の損失という結果となって返ってきた。2026年3月期決算は、上場以来初の最終赤字となる見込みだ。

 三部社長は巨額の損失になった理由について、米国カリフォルニア州のゼロエミッション車(ZEV)規制の事実上の無効化や補助金の打ち切り、そしてトランプ関税を挙げる。だが、トヨタ自動車のようにそれほど大きな影響を受けていない企業も存在するのだから、大企業の経営トップとして、これらは言い訳にはならない。やはり、ホンダは戦略ミスを犯したと評価せざるを得ない。

 なぜホンダが戦略を間違えたのかは、逆に、どうしてトヨタ自動車が(少なくともここまでは)正しい戦略を立てられたのかを探ると浮き彫りになってくる。

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「あるべき姿」から入るトヨタ

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