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西陣織の技能をNotebookLMで伝承、養父織物が挑む暗黙知の共有

日経XTECH / 3/17/2026

📰 NewsTools & Practical Usage

Key Points

  • 西陣織の技能継承には若手の増加と“見て覚える”文化の限界があり、伝承が課題となっている。
  • 養父織物はAIとデジタルツールを活用して暗黙知の共有に取り組み、技術伝承の新たな仕組みを模索している。
  • 横糸のテンション調整など高度な職人技が依然重要で、ベテランは紋意匠図を見て適切な準備を行う一方、若手は実践で時間を要することがある。
  • シャトル織機の自動化は部分的で、織り工程の停止を最小化するには職人の判断と経験が不可欠である。
  • NotebookLMなどAIツールの導入は教育と伝承の効率化・透明性向上を狙うもので、技術伝承の新しい可能性を示している。

 日本の伝統的工芸品である西陣織を生産する養父織物(やぶおりもの、京都府京丹後市)では現在、12人の職人が織り工程を担っている。60代のベテラン職人がいる一方で、9人は30代以下だ。「未経験での入社も多く、見て覚えるという文化が通用しなくなってきた」(養父織物の養父孝昭代表)。そこでAI(人工知能)とデジタルツールを用いた暗黙知の共有に取り組んでいる。

 西陣織は、絹糸を先に染め、その糸を組み合わせて模様(紋意匠)を織り上げる「先染(さきぞめ)」の織物だ。養父織物は、京都北部の京丹後市で60年ほど前から西陣織を生産しており、主力は帯地である。帯は早いもので2~4時間、時間がかかるもので3日ほどかかる。基本的に1人の職人が1つの帯を最後まで織り上げる。

 織り工程ではシャトル織機と呼ばれる半自動機械を使う。縦糸の上下動、横糸を入れたシャトルを左右に動かして縦糸の間に通す作業は自動だが、西陣織の複雑な紋意匠を高品質で織り上げるのに職人の技能は不可欠だ。

紋意匠図(左)と、これを基に織った西陣織の帯(右)
紋意匠図(左)と、これを基に織った西陣織の帯(右)
(写真:日経クロステック)
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 必要となる技能の1つが、横糸のテンション(糸張力)の調節である。西陣織では縦糸に対して、様々な色の横糸を適切なタイミングで織り込むことで紋意匠を作っていく。基本的に横糸が「絵柄」として表に出る場合はテンションを高めにし、「背景」となる場合はテンションを低めにするという。横糸の種類によっても適切なテンションが異なる。

 この横糸のテンションが高すぎると糸が切れ、反対にテンションが低すぎると「たるみ」が生じてしまう。職人は横糸が「絵柄」や「背景」と変わるたびに横糸のテンションを調節しなくてはならない。テンションの調整はシャトルごとに行う。

 ベテラン職人は「紋意匠図」と呼ばれる紋意匠の設計図を見れば適切なテンションが分かるため、事前に調整したシャトルを織機にセットしておく。同色でも適切なテンションが異なる場合は、1色につき複数のシャトルをセットする。こうしておけば織機の停止は最小限ですむ。

 一方で経験の浅い職人は紋意匠図から横糸のテンションを想定することは難しい。試行錯誤しながらテンションを調整するため、織り工程の完了までに時間がかかる場合があった。

織機で作業中の西陣織の職人
織機で作業中の西陣織の職人
(写真:日経クロステック)
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