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ついにAIが人から仕事を奪い始めた、解雇規制を緩和しないと日本は滅びるぞ

日経XTECH / 3/17/2026

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Key Points

  • 日本の厳し過ぎる解雇規制を大幅に緩和すべきだと主張しており、AI活用の遅れを防ぐべきだと説く。
  • 整理解雇回避の義務などの規制が、AI導入による人員削減の適切な進行を妨げているとの指摘がある。
  • 米国企業がAI導入で大規模な人員削減を進めている事例を挙げ、日本の遅れが競争力低下を招くと警鐘を鳴らす。
  • 著者は長年の記者経験を踏まえつつ挑発的な論説を展開しており、今後もこの論点を深掘りする意向を示している。

 今回の「極言暴論」は、フリーランスのITジャーナリストとして実質的に最初の記事である。公開日の関係で、形式上は前回の記事(2026年3月2日公開)が「最初の記事」だっが、執筆時点の所属でいえば今回の記事こそが最初の記事となる。その記事で改めて俎上(そじょう)に載せるのは、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を妨げ、AI(人工知能)活用でも後手を引かすことになる「日本の厳し過ぎる解雇規制」だ。可及的速やかに緩和しないと本当に大変なことになるぞ。

 この極言暴論で厳し過ぎる解雇規制の問題を取り上げた直近の記事は2025年11月10日付のものだから、わずか4カ月前のことだ。極言暴論を13年連載してきたにもかかわらず、解雇規制の問題を主題にした記事はそれを含め5回しかない。そりゃ、暴論しまくっている私であっても、真面目に働く人たちが失業で不幸になるのは可能な限り避けたいからな。でも、もはやそんなことは言っていられない。このままでは日本企業はあっという間に競争力を落とし、多くの人が不幸に見舞われる。だから時を置かずにまた書く、というわけだ。

 一応、読者の「邪推」を封じるために先に書いておくぞ。その邪推とは「木村は定年退職して逃げ切ったから、『解雇規制を緩和せよ』なんて言い出したんだろう」というものだ。そんなことはないからな。そもそも私は20代の頃、「解雇規制って何だ?」といわんばかりのブラックな企業などを転々とした。で、記者の仕事をやりたくて日経BPにたどり着いた。定年退職まで記者の仕事を続けてこられたのは、厳し過ぎる解雇規制に守られていたからではないぞ。読者が読むに値する価値を提供するという記者の社会的責任を果たせていたからであり、だからこそ定年退職した今も引き続き記者職を続けられているわけだ。

 さて、私の主張を改めて具体的に言うと、企業を縛る規制を大幅に緩和せよということだ。規制とは例えば、整理解雇をする前に配置転換や出向、希望退職の募集といった回避努力をしっかりやらねばならない解雇回避努力義務などだ。当然分かると思うが、こうした規制に縛られていたら、AIエージェントが人間の仕事を代替できるようになったとしても日本企業は余剰従業員を配置転換などで処遇し続けなければならないよね。日本は「空前の人手不足だから大丈夫」なんて話もあるが、そんなものは幻想だ。この件は後で書く。

 そういえば最近、日本のメガバンクがAI活用によって1万5000人いる事務職を最大5000人減らすという話が話題を集めたよね。私も当初驚いたのだが、解雇はせず営業など他の業務に再配置するということで、「なるほど日本的なやり方だ」と妙に納得してしまった。まさに整理解雇をせずに配置転換で対応するわけだ。このメガバンクだけでなく日本企業の大半はこのやり方、つまり日本の解雇規制に対応したやり方で、AIエージェントなどの導入によるDXについてお茶を濁すはずだ。

 一方、米国や新興国などの企業は容赦がない。例えば米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は、2025年10月と2026年1月の発表を合わせると約3万人の従業員を削減するとした。全てがAI絡みでというわけではないが、AI導入による効率化も大きな要因だ。さらに米決済大手のBlock(ブロック)は、2026年2月に従業員約1万人のうち4割を削減する計画を発表している。こちらもAI導入による効率化が主な理由だ。AIを活用したところで、劇的な生産性向上が期待できない日本企業はこれから先、どうすればよいのだろうか。

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日本企業のDXはもはや無意味に

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