農業用水の取水施設で護床ブロックが流水で崩れ、河床が洗掘された。設計者はブロック同士の連結を前提に構造計算したものの、それを図面に記載せず納品。施工時も発注者はミスに気付かなかった。
問題の護床工は、島根県の津和野川から農業用水を取り入れる「頭首工」に付帯する施設だ。2021年8月の豪雨で被災したため、同県津和野町が21~22年度に再構築した。この護床工に対し、会計検査院が構造計算上の条件と設計図書の不整合を指摘した。
町は頭首工の設計業務を建設コンサルタント会社に委託。農林水産省の「農地・農業用施設・海岸等災害復旧事業の復旧工法2014年版」に基づいて設計するよう求めた。設計者は護床工について、重さ2tの無筋コンクリートの護床ブロック45個を、堤体の下流側河床に並べる構造とした。
しかし、この設計に基づいて施工した護床工は、完成から数カ月で流水によって崩壊。町は22年11月、地元住民からの連絡で護床ブロックが流されているのを確認した。24年5月の検査院による実地検査の際も、崩れた状態のままだった。
設計者は構造計算に当たり、護床ブロック同士を鉄筋で連結することを前提に、設置する各ブロックの必要重量を0.47tと算出。被災前の護床ブロックの重量などを加味し、設計では2tのブロックを採用することにした。
ところが、設計者が納品した設計図面には、連結の指示を記載していなかった。町がその図面を基に発注したため、連結しないまま施工が進んでしまった。
連結しない場合の各ブロックの必要重量を検査院が算出したところ、使用した2tをはるかに超える30.14tとなった。ブロックが軽過ぎて、流水に抵抗できない状態だった。
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