砕石を詰めたかご枠を積んだ擁壁で、根入れ深さが不足した。発注者と施工者の誰も根入れ深さの重要性に気付かず、漫然と施工。その結果、前面地盤の洗掘で擁壁が損傷する恐れが生じていた。
会計検査院から施工が不適切と指摘を受けたのは、群馬県藤岡市が2020〜21年度に実施した市道の災害復旧工事だ。台風で被災した擁壁を撤去し、砕石を詰めたかご枠を積み上げて新たな擁壁を構築。擁壁の下部を土に埋める「根入れ」の深さが不足していた。
設計の基準とした「道路土工─擁壁工指針」(日本道路協会)では、根入れ深さを原則として0.5m以上確保すると定めている。1つのかご枠の高さは0.5mなので、最下段のかご枠は全て地中に埋まっている必要がある。
しかし、この現場では延長37mの擁壁のうち、計24.4mの区間で根入れ深さが足りなかった。根入れが全くなく、最下段のかご枠底部が露出している箇所もあった。擁壁の後背地から流出する雨水などで、前面地盤が洗掘される恐れがある。
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