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補強工事でPC鋼線が緩み橋脚折れたか、緊張材がUターンする異例の構造

日経XTECH / 3/11/2026

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Key Points

  • 宮城県涌谷町の涌谷大橋で耐震補強工事中に橋脚の張り出し部が折れた原因は、工事によりPC鋼線が緩んだ可能性が高い。
  • 橋脚の上部に増設された歩道部分では、PC鋼線が端から反対側にUターンする異例の構造を採用していたため、補強工事計画時にPC鋼線の存在が把握されていなかった。
  • 耐震補強としては橋脚上部の幅を拡張し、落橋防止を目指す縁端拡幅工事が実施されたが、はつり作業がPC鋼線に影響し、鋼線が緩んだことが折損の要因となった可能性がある。
  • 橋梁の老朽化対策で複雑化した補強設計において事前調査の重要性が浮き彫りになり、今回の事故は設計と施工段階の情報共有不足を示している。
橋脚上部の張り出し部が折れた涌谷大橋。左が車道部、右が歩道部。橋脚上部のコンクリートをはつると、PC鋼線が露出した(写真:宮城県)
橋脚上部の張り出し部が折れた涌谷大橋。左が車道部、右が歩道部。橋脚上部のコンクリートをはつると、PC鋼線が露出した(写真:宮城県)
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 宮城県涌谷町の涌谷大橋で耐震補強工事中に橋脚の張り出し部が折れたのは、工事の影響で生じたPC(プレストレストコンクリート)鋼線の緩みが原因の可能性が高いことが日経クロステックの取材で分かった。この橋では、建設後に橋脚の上部を張り出させて歩道部を増設。その際、PC鋼線を張り出し部の端部から反対側端部に回してUターンさせる異例の構造を採用していた。工事を発注した県は、事前にPC鋼線の存在を把握していなかった。

橋脚の平面図と正面図。プレストレスを与えるPC鋼線が周囲を巻くように通っている。歩道部内のPC鋼線の位置は推定(出所:宮城県の資料と取材を基に日経クロステックが作成)
橋脚の平面図と正面図。プレストレスを与えるPC鋼線が周囲を巻くように通っている。歩道部内のPC鋼線の位置は推定(出所:宮城県の資料と取材を基に日経クロステックが作成)
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 涌谷大橋は江合川に架かる10径間鋼単純鈑桁(ばんげた)橋で、1957年に完成。歩道を増設するため、69年にコンクリートの橋脚上部を上流側に張り出させて鋼単純H桁橋を架設した。

 その後、老朽化が進んだことから、県は補修と耐震補強の工事を発注。東北重機工事(宮城県塩釜市)が2025年9月~26年7月の工期で工事を進めていた。

 同橋では耐震補強として、橋脚上部の幅を広げて地震時の落橋を防ぐ「縁端拡幅」を実施する。張り出し部を除く橋脚上部の周囲を幅15cmはつった上で、幅30cmのコンクリートを打つ予定だった。

縁端拡幅工事の断面詳細図。寸法の単位はmm。既設橋脚を幅150mmはつった上で、鉄筋を設置してコンクリートを幅300mm打つ予定だった。設計時に把握していなかったPC鋼線が鉄筋を挿入する位置と干渉している(出所:宮城県の資料を基に日経クロステックが作成)
縁端拡幅工事の断面詳細図。寸法の単位はmm。既設橋脚を幅150mmはつった上で、鉄筋を設置してコンクリートを幅300mm打つ予定だった。設計時に把握していなかったPC鋼線が鉄筋を挿入する位置と干渉している(出所:宮城県の資料を基に日経クロステックが作成)
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はつり作業が影響したか

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