「AI(人工知能)を使って意思決定の質を高めたい」――。こう語るのは、特注設備の設計・製造を行う広島(名古屋市)の國枝洋尚社長だ。同社は、自社の暗黙知を学習させたAIを米Microsoft(マイクロソフト)の「Microsoft Teams」と組み合わせ、プロジェクトメンバーの業務を支援する「WAIOS(ワイオス)」を開発。2026年2月に社内での運用を開始した。
WAIOSの導入により、納期直前における残業時間が40%ほど減少したという。メンバー間のコミュニケーションや人による意思決定をAIが支援し、後工程での不具合発生とそれへの対応作業、いわゆる「手戻り」を大きく減らせた。
広島では1点ものの設備を受注することが多く、設計から製造までを一貫して担う。設計と製造それぞれの従業員を入れたチャットを案件ごとに立ち上げ、業務連絡に使用していた。しかし、納期直前での手戻りが発生していたという。
チャットでやり取りするだけでは指示が正確に伝わらない場合があり、指示の内容自体が不適切なケースもある。そこでWAIOSでは(1)上司の曖昧な指示、(2)疑問点を抱えたままでの作業、(3)無理なタスク――の発生を防ぐためにAIを活用する。以下で具体的な機能を紹介しよう。
上司の仕事も部下の仕事もAIが支援
例えば上司がチャットで「提案書をなるべく早く、いい感じに作成して」という指示を出したとする。この場合はWAIOSが上司に対して「指示が曖昧です」と指摘し、上司に対しタスクの詳細を記入するフォーマットを提示する。
上司がフォーマットに従って「目的」「期限」「優先度」「成果物の提出形態」「完成度の目安」などの項目を入力すると、それが部下に提示される仕組みだ。部下は具体的な指示を確認した上で作業を進められる。
次のページ
疑問点を抱えたままで作業が進められてしまう背景に...この記事は有料会員限定です
