ニコンは2026年4月1日付で専務執行役員CTO(最高技術責任者)の大村泰弘氏が社長兼CEO(最高経営責任者)に就く。同年3月期に過去最大となる850億円の最終赤字を見込む中、復活の鍵を握るのが半導体事業だ。主力の露光装置で人工知能(AI)ブームに乗り遅れ、一人負けしている。光学技術者として露光装置の開発を主導してきた大村氏が、経営者として手腕を発揮できるかが問われる。
大村氏は同年2月12日の記者会見で、ニコンが投資すべき領域として半導体をまず挙げた。とりわけ開発中のArF(フッ化アルゴン)液浸露光装置の新製品への期待を口にした。最先端のロジック(演算用)半導体やメモリーの製造に使う装置だ。大手半導体メーカーと共同開発しており、2029年3月期にプロトタイプ機を出荷する。
ニコンはかつて半導体露光装置で世界トップシェアを誇ったが、現在の金額ベースのシェアは数%にとどまる。業界最大手のオランダASMLホールディングやキヤノンに対し、AI半導体向けなどの製品投入で後手に回った。
ニコンの半導体露光装置の販売台数は、2023年3月期の45台から25年3月期には28台に減った。2026年3月期も29台にとどまる見込みだ。対してキヤノンはAI半導体製造の後工程向けが好調で、露光装置販売台数は2024年12月期に233台、2025年12月期は234台だった。
ASMLはArF液浸露光装置の市場が立ち上がった2000年代、生産性の高さでニコンを圧倒しシェアを伸ばした。2010年代にはニコンやキヤノンが断念したEUV(極端紫外線)露光装置の開発に成功。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国Samsung Electronics(サムスン電子)などへ累計300台近くを販売した。1台300億円を超えるEUVの市場を独占したことで、半導体製造装置全体でも世界首位となった。
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