この記事の3つのポイント
- リニアの走りを操る変電所はパワエレ技術の結晶
- 都留変電所の内部を取材し、設備構成や走る仕組みを図解
- 「3重き電方式」を採用、一部が故障しても確実動作
リニア中央新幹線(以下、リニア)の開業に当たり、JR東海は品川と名古屋の間に約10カ所の変電所を設置する。超電導磁石による列車の浮上走行を裏方から支える黒子のような存在だ。しかし、その中身は変電所という言葉から連想する「変圧器」のイメージとは異なり、同社が開発したパワーエレクトロニクス技術の先端が集結する。
従来の鉄道ではモーターや電力変換設備が主に車両側にある。リニアでは走行路の「ガイドウエイ」や変電所といった地上側にそれらを置くことで、列車の軽量化につなげる(図1、図2)。「車両を軽くした上で浮きながら高速で走るために超電導磁石を使う」――。同社中央新幹線推進本部リニア開発本部山梨実験センター所長の古賀俊作氏は、設計思想をこう表現する(図3)。
列車の軽量化によって、高速走行で増える消費エネルギーを抑えられる。JR東海によると、時速500kmで走行するリニアの消費電力は1列車当たり35MW(メガワット)ほど。あえて例えると、中規模のデータセンター並みに電力を消費する設備が、品川と名古屋の間を往復するようなものである。
走行時の消費エネルギーは、速度の2乗に比例する。よって、平均速度が新幹線の約2倍であるリニアの消費エネルギーは、そのままだと単純計算で新幹線の約4倍に増えてしまう。そこで、リニアでは車両の軽量化や空気抵抗の低減といった工夫により、消費エネルギーの増加を約3倍に抑える。変電所を含む地上に設備を置くという考え方は、その軽量化につながってくる。
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