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家賃の値上げは断れる。それだけ覚えると危ない理由

note / 3/15/2026

💬 OpinionIndustry & Market Moves

Key Points

  • 家賃値上げには断れる場面があるが、単純に「断れる」と覚えるだけでは不十分で、地域の法規や契約条件を理解する必要がある。
  • 断るプロセスには書面通知の要件、通知期間、対抗措置のリスクなど実務的な手順が伴う。
  • 値上げを断るだけでなく、相場感・市場状況、代替案(契約更新条件・交渉条件)も併せて判断するべき。
  • 過度な過信や安易な断固主張は退去通知やペナルティ、関係悪化などのリスクを招く可能性があるため注意。
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家賃の値上げは断れる。それだけ覚えると危ない理由

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住まい創造研究所

SNSを見ていると、家賃の値上げは断ればいい、応じなくていい、という強い言葉が流れてきます。
それ、拾った記事をセンシティブに拡散しているだけで、実態も伴わない危険な情報かもしれません。
たしかに、大家さんが言ったから即決で値上げ確定ではありません。
ではどんな注意ポイントがあるのでしょうか?
ちょっと長いですが、賃貸にお住まいの方は自己防衛のためにも読んでいただければと思います。

家賃の値上げは全自動で断れない

SNSでよく見るのが、家賃の値上げは断れる、という話です。
これは半分は合っています。でも、半分しか合っていません。

ここを雑に信じると危ないです。断れば終わりではないからです。
本当に面倒なのは、その先です。
値上げを覚悟する大家さんも、SNSで騒がれていることを知っているので今までのように性善説で大家さんも「そうですかー」では終わりません。

同意しなくても話は終わらない

まず、大家さんや管理会社から値上げの連絡が来ても、その場で即答する義務まではありません。
ただし、ここで勘違いしやすいポイントです。
すぐ同意しなくていいことと、絶対に値上がりしないことは別です。

相手にそれなりの理由があって、しかも本気で上げたいなら、そこで終わらず協議になります。
例えば、諸経費の値上がりや、利回りが経営として成り立っていない場合には正当な理由になります。
そして、話がまとまらなければ、調停や裁判に進むこともあります。

利回りってどんなもの?

利回りは、その物件が投資額に対してどれくらい家賃を生むかの指標になる数字です。

そもそも、場所にもよりますが表面利回り(単純に家賃を投資額で割ったもの)は7%以上利回りは欲しいところ。これが大前提とします。


たとえば、2億円かけて6部屋の賃貸を建てたとします。
建築費や地価は恐ろしいほど値上がりしています。
家賃1部屋10万円なら、満室でも月60万円です。年にすると720万円です。

【利回り】720万円 ÷ 2億円 = 3.6%です。

これが表面利回りです。数字だけ見ると、かなり低いです。

では、1部屋15万円ならどうでしょうか。

【利回り】1,080万円 ÷ 2億円 = 5.4%です。


15万円と聞くと高く見えるかもしれません。
でも、2億円かけた賃貸として見ると、まだ5.4%です。
しかもこれは満室が続いた場合の話です。

ただ、2億円で6部屋の場合、表面利回り7%を出すには年1,400万円の家賃収入が必要です。
6部屋で割ると、1部屋あたり月約19.4万円です。

つまり、地方で家賃15万円は高い、と感じても、建築費が2億円かかっているなら、貸す側からすればむしろ足りないくらいです。
家賃だけを見て高い安いを言っても、本当の採算は見えてきません。

この状況で裁判になれば値上げが認められるケースも増えていくかもしれません。理不尽に値上げできない状況が続けば、大家さんが減り、結果として消費者に不利益を生じさせる可能性があるからです。大家さんも商売です。

SNSは、いちばん大事な後半を省きます。

SNSの短い投稿は、強い言葉だけが広がります。
断れる。応じなくていい。それだけ見ると、拒否すれば勝ちみたいに見えます。

でも現実はそんなに単純ではありません。
相手が法的な手続き動けば、こちらも対応が必要です。
通知を無視して終わり、では済まないことがあります。

投稿した人はペナルティがないので気軽に言えますが、あなたの契約内容も、近隣相場も、家主の事情も建築費用も当然知りません。
もちろん責任も取ってくれません。

ここまでのデータが必要です

家賃の値上げで大事なのは、断れるかどうかだけではありません。
ここまで考えて、返事をする必要があります。

通知は書面か、口頭か?
いつから上げる話なのか。
値上げの理由は何か。
近所の相場と比べてどうか。
管理会社は説明できているか。
そもそも契約書はどうなっているのか?

誰も値上げは嫌ですが、ここまで準備して初めて正しい回答ができます。
単に払うか断るかの二択ではありません。

強い言葉より、面倒な現実

無茶な家賃の値上げは、たしかに断れる場面があります。
でも、それは魔法の言葉ではありません。

SNSの一言は気持ちを楽にしてくれます。
しかし、暮らしを絶対的に守ってくれるとは限りません。
バズり目的の言いっぱなしの言葉には責任がそもそもありません。

家賃のような毎月の固定費ほど、短い投稿で判断しない方がいいです。

ちゃんと考えて決めよう

そもそも賃貸は、借りている人の暮らしを守る考え方が強いので、大家さんが言ったから来月からいきなり大幅値上げ、という世界ではありません。
急激な値上げは、そのまますんなり通るものではないです。それは事実です。
ただし、そこで話が終わるわけでもありません。
家賃の見直しを求める仕組み自体はあるので、話し合いでまとまらなければ、調停や裁判に進むことがあります。
きちんとした事情があれば値上げは認められます。これもまた事実です。

本当に怖いのは、家賃は上げられないらしい、断れば終わりらしい、というSNSの雑な一言をそのまま信じることです。

でも、半端な知識だけが広がれば、借りる側も貸す側も強気になりやすいです。その結果、話し合いで済んだはずのことまで、調停や裁判で決着をつける流れは今後もっと増えるでしょう。

暮らしの話は、気持ちのいい一言で決めない方が安全です。
短い投稿を信じるより、通知書の中身と、その先に何が起きるかを見た方が、自分を守ることができます。

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