分譲マンション共用部の不具合で生じた住戸の雨漏り被害について、区分所有者が管理組合に損害賠償を求めて争った2つの訴訟の上告審。最高裁判所第1小法廷は2026年1月22日、管理組合が共用部の占有者に当たり、賠償責任を負うとする判断を初めて示した。高経年マンションの増加が社会問題となる中、今後の判決に与える影響は大きい。判決のポイントを詳しく解説する。
2つの訴訟はいずれも、同じ裁判官5人が審理した。管理組合の工作物責任を否定した東京高等裁判所の判決を全員一致で覆し、審理を差し戻した。管理組合の工作物責任を巡る裁判では、これまで判断が割れていた。
2つの訴訟のうち、東京都練馬区で1990年に竣工した5階建てマンションを舞台とするのが第1訴訟だ。築23年時点で、3階の住戸のバルコニーに接する外壁の隙間などから雨水が浸入し、2階の住戸に漏水。その後も雨漏りが3回続いた。そのため、2階の住戸の住人が、3階の住戸の住人と管理組合を相手取り、資産価値の下落分など約1400万円の損害賠償を求めて2019年5月、東京地裁に提訴した。
東京地裁は管理組合に約1010万円、3階住戸の住人にはそのうちの約40万円をそれぞれ支払うよう命じた。一方、2審では管理組合への支払い命令のみを取り消す判決を下した。
第2訴訟は、東京都内で1970年代に竣工した築約50年の小規模マンションが舞台だ。築40年超の時点で住戸を取得した住人は、取得後まもなく、斜線制限がかかる外壁の窓まわりから雨水が浸入する被害に遭遇した。そこで、住人は管理組合に対して、雨漏り発生時から現時点に至るまでの家賃と遅延損害金など(2026年時点で累計2500万円超)の支払いを求め、21年に東京地裁に提訴した。23年7月の1審判決、25年2月の2審判決ではいずれも、原告住人の請求を全て棄却。管理組合側が勝訴している。
なお、2つの訴訟の管理組合側代理人はいずれも、香川総合法律事務所の香川希理代表弁護士と島岡真弓弁護士、松田優弁護士が務めている。共用部からの雨漏りに火災保険が適用されなかった点も共通している。
最高裁は2つの訴訟において、管理組合が民法717条1項の「占有者」に当たるかどうかを審理した。同項では、土地の工作物に瑕疵(かし)があり、他人に損害が生じた場合に、その工作物の占有者が原則として損害賠償責任を負うと定めている。第1訴訟と第2訴訟の原審はいずれも、占有者は管理組合ではなく、区分所有者全員であると判断していた。一方、最高裁の判断は次のようなものだった。
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第1訴訟では修繕積立金による損害賠償命じるこの記事は有料会員限定です






