AI(人工知能)エージェント管理ツールが続々と登場している。各社のツールは具体的にどのような特徴を持ち、何を目指しているのか。AIエージェント管理ツールを取り上げる本特集の2回目は、ツール市場の代表的な動きを解説する。
海外のITベンダーを中心に「AIエージェント管理ツール」を提供する企業が増えている。AIエージェントの利用が企業で急速に進む中、複数のAIエージェントを束ね、アクセス制御などのセキュリティー機能を持つ製品が多い。
AIエージェント管理ツールが登場した当初、業務向けのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・ベンダー)を開発する企業が中心となっていたが今、その傾向は大きく変わりつつある。
その1つが、これまでAIエージェントの開発環境の提供に力を入れてきた米Microsoft(マイクロソフト)や米Google(グーグル)が、AIエージェント管理ツールに参入したことだ。両者の参入により、オフィスソフトの「Microsoft 365」や「Google Workspace」との連係を通じて、多くの企業でAIエージェント管理ツールの利用が進む可能性がある。
Microsoftは2026年3月9日(米国時間)、AIエージェント管理ツール「Agent 365」を2026年5月1日から一般提供すると発表した。多くの企業で利用されているMicrosoft 365など、Microsoftが提供する既存の製品・サービスと連係して動作する。
Agent 365は、一般的なAIエージェント管理ツールが持つ一通りの機能を網羅している。他社製含むAIエージェントを登録する「Agent Registry」、AIエージェントの行動とパフォーマンスなどを可視化する「Agent behavior and performance observability」、AIエージェントに任意のIDを付与してアクセス権限などを制御する「Agent ID」などの機能を持つ。
ここに来てAIエージェントの開発だけでなく、管理ツールであるAgent 365を提供した背景について、日本マイクロソフトは「AIエージェントは、単なる対話型に止まらず、複数のアプリケーションや業務データにまたがってタスクを実行する役割として活用され始めている。AIエージェントに対し、従来ユーザーやデバイスに適用してきた可視化やアクセス管理などを拡張していくことが求められている」とする。
Microsoftに先行してAIエージェント管理ツールに参入したの米Googleだ。Googleは2025年7月にAIエージェント管理ツール「Gemini Agentspace」の一般提供を開始した。同年10月には、Gemini Agentspaceをビジネス向けAI基盤「Gemini Enterprise」の機能の一部として統合。現在は「Agent Gallery」などの機能を介して、他社製含めたAIエージェントを統制するためのツールとして提供している。
グーグル・クラウド・ジャパンは「ノーコードでのエージェント開発ツールが普及し、ビジネスの現場で自律的なエージェントが開発されるようになった」ことが、AIエージェント管理ツールの需要を高めているとみる。
AIエージェントの開発ツールが普及した結果、ユーザー企業が求めるガバナンスとは異なる形でAIエージェントを構築してしまう新たなリスクが浮上している。グーグルは、AIエージェント管理ツールを介することで、誤ったデータベースやシステムへの連係を防ぐといったニーズを見込む。
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