トランプvsアンソロピックの騒動について 【続報】
先日投稿した次のAI関連記事にスキがついてビックリしたじぃじです。
実はこの記事、寝る前に気がついて Gemini に問いただした内容を貼っつけただけだったので、読みにくいのです。で「書き直そうかなぁ…」と思案している間に、例の NewsPicks NY のファンキーなジャーナリスト森川&後藤コンビの「週刊ジョーホー番組」がアップデートされてました…
映像を見るのがタルい方々のために Gemini の解説を追加しておきますと…
この動画は、アメリカのAIスタートアップ企業であるアンソロピック(Anthropic)とオープンAI(OpenAI)、そして**アメリカ政府(トランプ政権・国防総省)**の間で起きた、AIの軍事・監視利用をめぐる激しい対立と裏側を解説した内容です。
主なポイントは以下の通りです。
1. アンソロピックと国防総省の全面対決
イラン攻撃でのAI活用: 米軍はパランティア(Palantir)社を通じてアンソロピックのAI「Claude(クロード)」を作戦シミュレーションやデータ分析に使用しており、その威力は凄まじいとされています [01:38]。
決裂の原因: 国防総省はAIのポテンシャルを「ガードレールなし」で無制限に使わせるよう要求しました。これに対し、安全性を重視するアンソロピック側は、**「自律型殺人兵器への利用」と「国内の監視(思想警察のような利用)」**の2点は絶対に認められないと拒否し、交渉が決裂しました [02:41]。
2. トランプ大統領と国防総省による「死刑宣告」
トランプ氏の介入: トランプ大統領はアンソロピックを「左翼の狂人」と非難し、全連邦機関に対して同社テクノロジーの使用停止を指示しました [05:37]。
サプライチェーン・リスク指定: 国防総省はアンソロピックを「国家安全保障のリスク」に指定。これは実質的な「企業の死刑宣告」に近い厳しい措置です [06:05]。
3. オープンAI(サム・アルトマン)による「横取り」
電撃合意: アンソロピックが信念を貫いて政府と決裂したわずか数時間後、オープンAIのCEOサム・アルトマンが国防総省とモデル提供の合意に達したことを発表しました [08:47]。
批判の嵐: これまで「安全性が大事」と足並みを揃えていたはずのオープンAIが、ライバルが排除された瞬間に案件を横取りした形となり、シリコンバレーや自社社員からも「卑怯だ」「見せかけの安全性だ」と猛烈なバッシング(バックラッシュ)が起きました [10:20]。
4. 両社の哲学の違い
アンソロピック: 法律が追いついていないグレーゾーン(大規模監視など)についても、AI企業自ら「やらない」と釘を刺すべきだという立場 [12:21]。
オープンAI: 「合法である限りは協力する」というスタンス。政府が「合法だ」と言えば、その範囲内で最大限協力するという姿勢の違いが浮き彫りになりました [12:06]。
動画の背景
この動画は、NewsPicksニューヨーク支局の記者たちが現地サンフランシスコでの取材をもとに、AIの未来が「国家権力」と「企業の倫理」の狭間でどう揺れ動いているのかをリアルタイムに伝えています。アンソロピック本社の前には応援メッセージが溢れる一方、オープンAIに対してはボイコット運動が起きるなど、AI業界を二分する歴史的な出来事として解説されています。
この解説では Gemini が品よくまとめていますが、元の映像ではファンキーな森川&後藤コンビのことですから、火中の OpenAI と Athropic の本社のあるサンフランシスコに乗り込んで、抗議デモを取材したみたいです。角度を付けて報道するのが得意の日本のメディアでは、アンソロピックの苦境を尻目にトランプへの技術供与を約束したサム・アルトマンに対する抗議デモが強調して報道されてますが…現地で実際に OpenAI 本社前に集まっていたのは50人程度だったとか…
と笑っちゃうような事実を暴露してます😛
こう言った週刊ジョーホー番組のファンキーなところを、じぃじは愛してるのですが(でも有料版は決して見ないけどね)、ともあれ、如何に最先端AI技術を有しているとはいえ、天下の米国政府の要求をタカぴーに拒絶して見せるITベンチャーを不可解に思っておられる方々は多いかとじぃじは想像しています。
生成AIをめぐるハイテクWokeの闘争の10年【前編】
で、やはり OpenAI と Athropic のスタンスの違いを紐解いておいた方が良いなぁ…とじぃじは考えました。(森川&後藤コンビも説明しようとはしてましたが…彼ら流にノリで喋るので、とにかくわかりずらいのです)
実際、ここ10年ぐらいの生成AIに関する研究開発コミュニティの入り組んだ動向を理解していないと、如何に先端ITを手掛けているとは、言え米国政府を相手に喧嘩を売るぶっ飛んだ民間企業は理解できないことでしょう。(ってことにさせてください。技術史オタクのじぃじの好物なので🤭)
で、生成AI業界(?)の主だったトピックを年表の形でまとめてみました。

話題の中心は、やはりOpenAIになります。
OpenAI設立の経緯(2015年)
OpenAIは2015年12月、イーロン・マスクやサム・アルトマンらによって、非営利(Non-profit)の研究機関として設立されました。当時の主な設立目的は以下の通りです:
「Googleへの対抗」: 当時、Google傘下のDeepMindがAI研究をリードしていましたが、特定の企業がAIを独占することを危惧していました。
「人類への貢献」: 特定の企業の利益を優先するのではなく、人類全体に利益をもたらす「安全なAI」の開発を目指しました。
「オープンソース」: その名の通り、研究成果を一般に公開(オープンに)するという方針でした。
OpenAIがイーロン・マスクが設立した非営利研究機関として始まったことに驚いた方もいらっしゃるでしょうが、それは前年、 AlfaGo で一躍注目を集めた DeepMind を買収し傘下に収めた Google が、機械学習系オープンソースの TensorFlow をリリースして、世界中の機械学習に特化したプログラマーのロックインを図った野心的な試みに対する反発であったとじぃじは想像しています。つまり「機械学習の研究開発領域での Google 独占」を阻むため、柄にもなく Open を社名に冠した非営利団体を設立した訳ですから。
イーロン・マスクの経営陣からの離脱(2018年)
ですが、Google の機械学習分野での快進撃は止まりません。TensorFlow は瞬く間に機械学習プログラミングのデファクトスタンダードとなり2017年には(現在では生成AIの基盤アーキテクチュアとなった) Transformer の発表に至り、OpenAI は完全に取り残された感じがありました。テコ入れに焦ったイーロン・マスクは、更なる投資の見返りとして自動運転AIに研究ターゲットを絞り(自身が保有する)テスラとの統合を理事会に提案しましたが反発され、OpenAI から手を引くことになりました。
おそらくイーロン・マスクは、OpenAI に Google での DeepMind のような頭脳集団を期待していたんでしょうねぇ。
サム・アルトマンの代表就任とマイクロソフトからの出資(2019年)
イーロン・マスクの後任はサム・アルトマンとなりました。開発ターゲットは「人類全体に資する汎用AI(AGI)」という、非営利の広範な技術を掲げました。ちなみにこの時の技術担当副社長は(のちにアンソロピックの創業者となる)ダリオ・アモディです。運営資金の枯渇から新たな投資家を探したアルトマンは結局、投資を受け入れるために「利益制限付き」の営利法人を傘下に作るという荒技に出ます。要するに「非営利法人の下に営利法人」という世にも不思議な2階建構造が出来上がったのですが、その後のマイクロソフトから巨額の出資を受けるためにはやむ得なかったのでしょう。
GPT-3の完成とアンソロピックの設立(2020年)
ダリオ・アモディ率いる開発チームは GPT(Generative Pre-trained Transformer)シリーズは、現在の大規模言語モデル(LLM)の最初の試みで、GPT-1からGPT-3までの主な進化は、「モデルの規模(パラメータ数)」と「学習データの量」、「汎用性」の向上に集約されます。
● GPT-1 (2018年) - 全ての始まり
「大規模なデータを事前に学習させ、その後に特定のタスクへ調整(ファインチューニング)する」という、現在の主流となる手法を確立しました。
Transformer の「デコーダー」部分のみを使用。
約7,000冊の書籍データ(BookCorpus)で学習。
特定の作業(翻訳や要約など)をさせるには、その作業専用の追加学習(ファインチューニング)が必須で、長い文章の脈絡を維持するのが苦手でした。
● GPT-2 (2019年) - 「危険すぎる」と言われた進化
GPT-1の設計をほぼそのままに、規模を約10倍に拡大したモデル。
特徴: * パラメータ数: 1.17億 → 15億へ増加。
学習データ: Web上の広範な記事(WebText)40GB分。
Zero-shot学習: 特定の追加学習なしでも、プロンプト(指示文)だけで簡単な翻訳や要約ができる「汎用性」の片鱗を見せました。
あまりに高精度で人間らしい文章が書けるため、「偽ニュースの拡散に悪用される恐れがある」として、OpenAIが当初はモデルの全公開を控えたことで話題になりました。
● GPT-3 (2020年) - AIの常識を変えた巨大モデル
GPT-2をさらに約100倍以上に巨大化させたことで、世界中に衝撃を与えました。
パラメータ数: 15億 → 1,750億。
学習データ: インターネット上の膨大な情報を含むCommon Crawlなど、数百GB規模。
Few-shot学習: 2、3個の例を見せるだけで、プログラムコードを書いたり、詩を作ったり、計算をしたりと、未知のタスクを高い精度でこなせるようになりました。
このGPT-3をベースに、人間との対話に特化させた「InstructGPT」や、その後の「ChatGPT」が誕生することになります。3つのモデルを比較すると…

GPTシリーズは「モデルを大きくすれば、AIは特別な教育(個別学習)なしでも賢くなる」ということを証明しました。これはスケーリング法則と言われるもので、詳細が次の論文で説明されています。
タイトル: Scaling Laws for Neural Language Models
論文のポイント:
「規模・データ・汎用性」の相関を数式化した非常に重要な論文
「モデルのパラメータ数」「データ量」「計算量」の3つを増やせば増やすほど、予測の正確さ(ロス)がべき乗則に従って綺麗に改善していく
これにより「とにかく大きくすれば賢くなる」という確信がAI業界に広まりましたが、このスケーリング法則に最も驚愕し恐怖したのもまた発見したアモディたち自身だったと言われています。GPT-3 の公表後の OpenAI 社内ではアルトマン率いる経営陣とアモディ率いる研究チームの間で、その後の展開について激しい意見対立が起こりました。特に2020年9月に経営陣がマイクロソフトと GPT-3 に関する独占契約の締結を強行したことで、両者の対立は抜き差しならない状態に陥り、それが翌2021年1月の OpenAI の集団離脱と Anthropic 設立のキッカケとなりました。
アモディにとって現在の米国政府と Anthropic との間の対立は、2020年のアルトマンとの意見対立と同じ議論だということになります。またアメリカのメディアが彼を「21世紀のオッペンハイマー」と呼ぶ理由でもあります。
というわけで…
ちょっと長くなり過ぎたので、今回はここで終わりにします。続きは森川&後藤コンビの次の週刊ジョーホー番組が公開されたら書くことにします😛
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