DX(デジタル変革)を推進するためには、もはやAI(人工知能)の活用が不可欠になってきている。しかし、企業によってその活用度合いに差があるのが現状だ。いかにしてAIの潜在能力を引き出し、成果に結び付けるか。業務変革リーダーに問われている。
「ITイノベーターズ会議」(日経クロステック主催、2026年3月25日開催)では、「人とAIで成果を最大化するための働き方・業務改革の勘所」をテーマにエグゼクティブメンバー(幹事会員)が意見を交わした。ディスカッションを通じて多くのメンバーが一貫して訴えたのは、個人の仕事の効率化にとどまらないAIの活用だ。
6割超がAIエージェントの活用に乗り出す
ハルシネーション(幻覚)や機密情報漏洩のリスクを排除するなどして、生成AIを業務で利用する企業は今や珍しくない。生成AIが身近になっただけでなく、最近はAIエージェントの活用も急速に広がってきた。
ディスカッションの冒頭、AIエージェントの活用状況を聞くアンケートを会場内で実施。その結果、実に回答者の64.4%がAIエージェントの活用を既に始めていると回答した。その内訳は「既に活用し、成果が出ている」が22.2%、「活用しているが、成果はこれから」が42.2%だった。
AIエージェントを業務に利用する際の課題は何だろうか。「業務改革にAIエージェントを活用する上での課題は?」との設問で、同様に聞いたところ、最多は「業務プロセスの設計」だった。43.2%の回答者がこの選択肢を選んだ。2位以降は「推進体制の構築」(15.9%)、「効果測定(投資対効果)」(11.4%)などが続いた。やはり、「業務プロセスをどう変えるべきか」は変革リーダーにとって永遠の課題のようだ。
BPRした業務をAIエージェントに実装
AIを個人向けのツールとして位置付けているうちは、ビジネスの推進力を引き上げられない――。そういった指摘がディスカッションでは相次いだ。
「生成AIを使うのは、もう当たり前。ただし、AIを(個人の業務を効率化するための)『文房具』として使っている限り、生産性はまったく上がらない。3年にわたり活用を推進してきて、よく分かった」。こう切り出したのは、パナソニック ホールディングスの玉置肇副社長執行役員兼グループCTRO 事業CEOオペレーショナルエクセレンス事業担当である。
「生産性を上げられる唯一のAI活用の方向性は、生成AIなどを用いながらBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を実施し、AIエージェントを使って新たな業務プロセスに置き換えること」(玉置氏)。パナソニックはある部門の業務プロセスを生成AIで分析し、新しい業務プロセスを規定したという。それをAIエージェントを活用して実現したことで、「大幅に業務を簡素化できた」と玉置氏は話す。生成AIやAIエージェントを駆使して、BPRを実現した好例といえるだろう。
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玉置氏の見解に多くのメンバーが賛同した。「100...この記事は有料会員限定です





