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Microsoft版「Cowork」は日本企業が好みそう、Anthropic版との違いとは

日経XTECH / 3/13/2026

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Key Points

  • Copilot Coworkは、タスクを指示するとAIが実行計画を作成し、Outlook・Teams・Excel・Word・OneDriveなどを横断して実務を遂行する点が特徴。
  • 従来のMicrosoft 365 Copilotが“やり方を教える”のに対し、Copilot Coworkは実際にタスクを遂行する点で大きく異なる。
  • Copilot Coworkはクラウド上のサンドボックスで動作し、企業向けセキュリティ機能でアクセス範囲を細かく制御できる。
  • Claude CoworkはユーザーのPC上で動作するセルフホスト型エージェントで、ローカルのソフトやファイルを直接操作する。
  • セルフホスト型エージェントには高い自由度とセキュリティ懸念があり、OpenClaw関連の安全運用ガイドラインが公開されている。

 米Microsoft(マイクロソフト)が2026年3月9日(米国時間)、AI(人工知能)がオフィスソフトなどを操作してホワイトカラーの業務を遂行するAIエージェント「Copilot Cowork」を発表した。米Anthropic(アンソロピック)の「Claude Cowork」をベースにしたツールだが、日本企業が好みそうな変更が随所に組み込まれている。

 マイクロソフトのCopilot Coworkは、ユーザーがAIに実行してほしいタスク(業務)をプロンプト(指示文)で指示すると、AIが行動計画を立てた上で、様々なアプリケーションを操作したり、ファイルを編集したりして、そのタスクを完了させるというツールである。

 従来の「Microsoft 365 Copilot」が業務の「やり方」を教えてくれるものだったのに対して、Copilot CoworkはAIが実際にそのタスクを遂行してくれるという大きな違いがある。マイクロソフトはCopilot Coworkについて「アンソロピックと緊密に連携してClaude Coworkの基盤となっている技術をMicrosoft 365 Copilotに統合した」と説明する。

 アンソロピックが2026年1月にリリースしたClaude Coworkも、ホワイトカラーのオフィス業務を遂行してくれるAIエージェントだ。かつての「AIチャットボット」が、ユーザーのプロンプトに「即応」するものだったのに対して、Claude CoworkはベースとなるLLM(大規模言語モデル)がユーザーからのタスク依頼にどう応えるべきか「長考」し、様々なツールを使いこなす「マルチステップ」の処理を実行する。

 マイクロソフトはClaude Codeが備える長考とマルチステップ処理の能力を、Copilot Coworkにも導入したと説明する。ただし両者には大きな違いもある。

SaaSの中で稼働するCopilot Cowork

 両者の最大の違いは「実行場所」だ。マイクロソフトのCopilot Coworkは、同社のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)である「Microsoft 365」の中で稼働する。Microsoft 365が備えるOutlookのメールや予定表、TeamsやExcel、Word、PowerPointといったアプリ、クラウドストレージのOneDriveに保存されたファイルなどを使用して、業務を遂行する。

 同社はCopilot Coworkについて「保護されたクラウド上のサンドボックス環境で実行されるため、ユーザーが複数のデバイスを使用していても、タスクはどこでも安全に遂行される」と説明する。またMicrosoft 365が備えるエンタープライズ向けのセキュリティー機能によって、AIがアクセスできるアプリやデータの種類なども、細かく制御できるとする。

パソコンの中で稼働するClaude Cowork

 一方、アンソロピックのClaude Coworkは、ユーザーのパソコンの中で稼働する。ユーザーはあらかじめパソコンにClaude Desktopというソフトをインストールする。するとクラウド上で稼働するLLMが、パソコン上のChromeブラウザーを操作したり、CLI(コマンド・ライン・インターフェース)からコマンドを実行したり、ファイルシステム経由でファイルを操作したりして、業務を遂行する。こうした仕組みは、コーディングエージェントであるClaude Codeも同様だ。

 Claude CoworkやClaude Codeのような、LLMがパソコン上で業務を実行するタイプのAIエージェントは「セルフホスト型エージェント(Self-hosted agent)」と呼ばれる。Claude CoworkやClaude Codeのオープンソース版と認識されている「OpenClaw」もセルフホスト型エージェントだ。OpenClawについては開発者のPeter Steinberger(ピーター・スタインバーガー)氏が2026年2月に米OpenAI(オープンAI)に入社したことが話題になった。

 セルフホスト型エージェントの強みは、自由度が高いことだ。パソコンに導入済みの任意のソフトが利用できるだけでなく、LLMがその場で開発したプログラムなどもパソコン上で実行できる。逆に弱みは、セキュリティー上の懸念がつきまとうことだ。

セルフホスト型エージェントの懸念点とは

 セルフホスト型エージェントを利用する際のセキュリティー上の注意点については、マイクロソフトが非常に分かりやすい文書を公開している。マイクロソフトはOpenClawを念頭に注意を喚起しているが、Claude CoworkやClaude Codeにも当てはまる点が多い。

マイクロソフトの文書「Running OpenClaw safely: identity, isolation, and runtime risk」 https://www.microsoft.com/en-us/security/blog/2026/02/19/running-openclaw-safely-identity-isolation-runtime-risk/

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