日本国内で不足してきた最先端半導体の設計を手掛ける新興企業が現れ始めた。TRIPLE-1(トリプルワン、福岡市)とLENZO(レンゾ、奈良県生駒市)だ。市場が急拡大する暗号通貨の採掘(マイニング)用途で、電力効率を高めたプロセッサーを開発する。中国企業の独走が続く世界市場に、日本が待ったをかけられるか。
トリプルワンとレンゾは、いずれも国内大手メーカー出身の半導体エンジニアが持つノウハウを基に、台湾積体電路製造(TSMC)の3nm(ナノメートル)世代半導体を使った設計を進める(図1)。トリプルワンは「業界最高水準」と主張する電力効率のマイニング用チップ(マイニングマシン)の量産を2026年内に開始する計画だ。レンゾは、AI(人工知能)半導体向け技術を応用したマイニングマシンを2026年末に発売する見通しを立てる。

レンゾはPS3の開発ノウハウ生かす
2016年に設立されたトリプルワンは電力の削減・創出に着目する。これまでマイニングマシンや全固体電池の開発を進めてきた。東京電力ホールディングスの子会社である東京電力パワーグリッドとも協業し、余剰電力を使ったマイニングなどへの活用を進める。
レンゾは奈良先端科学技術大学院大学発の新興企業として、2024年12月に設立されたばかり。CEO(最高経営責任者)の藤原健真氏は、家庭用ゲーム機「PlayStation(プレイステーション) 3」の開発に関わった。富士通でスーパーコンピューターの開発経験のある奈良先端科学技術大学院大学教授の中島康彦氏と立ち上げた。将来的にAI半導体への展開を見据えるが、「まずはマイニング向けで資産をつくる」(藤原氏)考えだ。
国内の半導体業界では、先端半導体の設計人材が不足する状況にある。両社はいずれも、1980年代の半導体全盛期の再興を見据える。マイニングマシンの市場を確立できれば、今後の人材育成にもつながる。世界情勢を味方につけられる今を絶好の機会と捉える。
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