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Apple、半導体設計で学生向け実践教育 幹部「人材足りない」

日経XTECH / 3/18/2026

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Key Points

  • Appleは半導体教育プログラムを拡充し、AI時代の人材不足解消を狙う。
  • CadenceはAIを導入してEDAの生産性を10〜100倍に高める目標を公表。
  • ISSCC 2026の講演では、AIの演算性能の伸びが半導体の集積度の伸びを上回る課題と、AIデータセンターの電力消費増大が指摘された。
  • 今後10年の目標として、電力効率を100倍、供給密度を20倍といった野心的指標が示され、業界の貢献が期待された。
  • ツァイ氏ら業界リーダーの発言は、教育・技術開発・投資の連携を促す動きを強調している。
「ISSCC 2026」では、大手企業の幹部が基調講演に登壇し、半導体分野の課題や解決に向けた取り組みなどを講演した(出所:日経クロステック)
「ISSCC 2026」では、大手企業の幹部が基調講演に登壇し、半導体分野の課題や解決に向けた取り組みなどを講演した(出所:日経クロステック)
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 今後10年のAI(人工知能)の進化と普及促進に向けて、半導体分野の課題を解決する動きが加速している。米Apple(アップル)は技術者不足を解決するために、学生向けに半導体の教育プログラムを拡充する。EDA(電子設計自動化)ツール大手の米Cadence Design Systems(ケイデンス・デザイン・システムズ)は、大規模化・複雑化する半導体設計に対処するため、AIを導入して生産性を10~100倍にすることを狙う。

 2026年2月、半導体集積回路の著名な国際会議「ISSCC 2026」では、機器メーカーや半導体大手の幹部たちが基調講演に登壇し、半導体業界の課題とその解決に向けた取り組みを紹介した。基調講演の最初に登壇したのは、台湾・聯発科技(メディアテック)副会長兼最高経営責任者(CEO)の蔡力行(リック・ツァイ)氏だ。同氏は、かつて台湾積体電路製造(TSMC)でCEOを務めた人物であり、半導体業界の重鎮として知られる。

AIの進化に追い付けない

 そんなツァイ氏は、現在の半導体業界の課題を指摘しつつ、ISSCC参加者に対して研究開発に向けた指針を示した。同氏が指摘した課題は大きく2つある。1つは、半導体の集積度の進展に比べて、AIが求める演算処理性能の伸びが速く、そのギャップが広がっていることである。半導体の集積度が18~24カ月ごとに2倍になるのに対して、AIが求める演算処理性能はわずか4~5カ月で2倍になる。今後、AIの学習から推論へと主役が移行することで、この傾向はさらに強まると見ている。

メディアテックのツァイ氏は、半導体の集積度のペースがAIの急速な進化に追い付いていないと指摘した(出所:日経クロステック)
メディアテックのツァイ氏は、半導体の集積度のペースがAIの急速な進化に追い付いていないと指摘した(出所:日経クロステック)
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 もう1つの課題は、GPU(画像処理半導体)をはじめとするAI半導体や、AI半導体を搭載したデータセンターの消費電力の急増である。AI半導体の電力効率向上や、AI半導体に対する給電能力拡大などが不可欠と語った。従来のデータセンターの場合、消費するエネルギーは3~4年ごとに2倍になっていたが、AIデータセンターの場合では、1年ごとに2倍になるという。

 こうした課題を踏まえた上で、今後10年、半導体業界における数値目標を示した。電力効率(1W当たりの演算処理性能)を100倍、電力供給密度を20倍など、いずれも野心的な数字である。そこで、ツァイ氏は「みなさんの貢献に期待する」と語り、聴講している半導体技術者を鼓舞した。

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ケイデンス「設計効率を100倍に」

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