玄関の土間は結露の死角になりやすい。今回紹介するのは、断熱等性能等級6を達成した高性能な住宅で、冬に結露が発生した事例だ。土間の意匠性を重視して、基礎断熱の断熱材を部分的に省いたことが原因だった。
2024年7月に完成した高断熱・高気密の平屋建て住宅を、引き渡しから7カ月がたった25年2月に、住宅会社の担当者が訪ねた際のことだ。建て主から「玄関のタイルがひとりでにぬれる。結露しているようだ」という指摘を受けた。この住宅は、省エネ地域区分の6地域に該当する温暖地に立っている。
担当者に頼まれて当社が現地に行くと、タイル仕上げの玄関土間の壁際に結露水を確認した〔写真1〕。
この住宅の外皮平均熱貫流率(UA値)は0.3W/m2・Kで、断熱等性能等級6の基準値を大きく超えている。当社が実施した中間時の気密測定では、相当隙間面積(C値)が0.1cm2/m2だった。さらに、全熱交換型換気と床下エアコンによる全館暖房を採用している。これだけ見ると、結露の発生とは無縁に思える最先端の仕様だ。
調査で訪れたときの室内の温湿度は、一般的な住宅より少し高めだった。生まれたばかりの赤ちゃんのために、加湿器を高めの湿度設定で強運転していたからだ。
室内の温湿度を測定すると、温度は24.2度、相対湿度は53~55%、絶対湿度は12g/m3だった。この状態の露点温度は14度なので、表面温度が14度以下の箇所があると、結露が発生する〔写真2〕。
床下まわりは「基礎内断熱」で、押し出し法ポリスチレンフォーム断熱材(XPS)3種aDを基礎の立ち上がりの室内側に厚さ50mmで、スラブ全面に同30mmで施工していた〔図1〕。
玄関部分の断面詳細図を確認して、結露の発生原因が分かった。基礎の立ち上がりのタイルと壁のクロスを同面にするため、立ち上がりの断熱材を土間コンクリートの上端で止めていたのだ。土間床の上端から土台までの基礎の立ち上がりが無断熱なので、ヒートブリッジとなって結露を生じさせたと考えられる。
その日の気象データを見ると、最高気温は9.2度、最低気温はマイナス0.5度。温暖地で室内を全館暖房していても、無断熱の部分は露点温度である14度を下回り、表面結露が発生すると判断した。断熱性能の低いアルミサッシ部分が結露するのと同じ現象だ。温暖地でも結露が生じる状況なので、この仕様を寒冷地で採用したら結露量がさらに増え、発生期間も長期化する〔図2〕。
玄関土間の結露は、少量でも軽視すべきでない。結露が続くとカビやダニによる健康被害や土台の腐朽だけでなく、蟻害も招くからだ。玄関まわりは地盤とつながり、シロアリが侵入しやすい箇所だ。シロアリはじめじめした木部を好むので、結露水があると、蟻害リスクが一気に高まる。
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