『九陽の剣聖』 92.(更新中)
瞬殺。まさかの一撃。
一瞬で地に伏したのは、あの孫涓だ!
秦少白は顔色を失い、弾かれたように立ち上がる。
楊岩大長老でさえ、髭を震わせ思わず身を乗り出した。
焔焔と西門夫人は言葉を失い、ただ息を呑む。
会場を埋め尽くす群衆が驚愕のあまり総立ちになり、闘技台の上の陽頂天を呆然と見つめていた。
どうしてこんなことに?
誰もが疑わなかった。
陽頂天が無惨に切り裂かれ、命を散らすのだと。
だが闘技台の上にあったのは、あり得ない現実だった。
陽頂天は五日前まで、何の力も持たないただの啓蒙者だったはずだ。
『殺豚剣』などという剣術を修める者は、狂人か廃人になるのが関の山ではないのか?
三星玄武者である孫涓が、たった一撃で斬り伏せられた。
いったい、今の陽頂天はどの境地にいるのか。
少なくとも孫涓より数段格上でなければ、あんな一撃を放てるはずがない。
わずか五日で十数星もの壁を突破するなど、あまりにも異常だ。
雲霄城の長い歴史を振り返っても、これほどの出来事は例がない。
数分間。
闘技場は、息詰まるような沈黙に包まれた。
沈黙を破ったのは、震えるような声だった。
「陽頂天……!」
密かに希望を託していた雲霄城の弟子の一人が、たまらず叫び声を上げたのだ。
それが引き金となった。
その名を叫ぶ声は次々と連鎖し、瞬く間に膨れ上がり、闘技場を震わせるほどの熱狂となった!
「西門城主! 西門城主!」
やがてそれは大きなうねりとなり、西門無涯を讃える大合唱へと変わった。
この一戦の勝利は、陽頂天だけのものではない。
西門無涯の威信が、確かにここにあると証明したのだ!
(続きます)



