カメラやセンサーが取り付けられた信号柱が立ち、電気自動車(EV)による自動運転の実証走行が進む──。ここはトヨタ自動車が「モビリティのテストコース」と位置付ける未来技術の実証都市「Toyota Woven City」(以下、ウーブン・シティ)だ。トヨタの完全子会社であるウーブン・バイ・トヨタ(東京・中央)は2025年12月18日、ウーブン・シティの第1期エリアを報道陣に公開した。
ウーブン・シティの最大の特徴は、「インベンターズ」と呼ばれる開発・研究者が「ウィーバーズ」と呼ぶ住人や来訪者からリアルな行動データやフィードバックを受けられる都市空間を備えることである。第1期エリアが25年9月25日にオープンしてから約3カ月。トヨタグループ12社を含め、企業や個人の計20者(25年12月18日時点)がインベンターズに参加している。インベンターズの募集は継続中だ。
敷地は静岡県裾野市にあるトヨタ自動車東日本の旧東富士工場跡地である。富士山の山麓に広がる約29万4000m2の敷地を使って一大都市を構築する壮大なプロジェクトだ。具体的な全体計画は明かされていないが、「富士山の噴火を含む災害対策も織り込み済みだ」とウーブン・バイ・トヨタの広報担当者は説明する。
ウーブン・シティは東名高速道路の裾野IC(インターチェンジ)に近い。徒歩の場合は、JR御殿場線の岩波駅から10分ほど。駅前とウーブン・シティの間を往復するトヨタの電気自動車「e-Palette(イーパレット)」も利用できる。移動の主体は車になるが、Phase1に当たる第1期エリアは駅にも近く交通アクセスの利便性は悪くない。ただし、市街地からはかなり離れているので、周辺に生活施設は少ない。
第1期エリアの広さは約4万7000m2。正方形のコートヤードを囲むように住居棟が立ち、その外側にオフィス棟や研究棟などが立つ。基本設計は日建設計、実施設計は日建設計と大林組が担当した。大林組が施工も手掛け、24年10月に竣工した。建築計画概要書によると第1期エリアの延べ面積は建物全体で約8万4800m2だ。
最終的には約300人が暮らす予定の住居棟には、25年12月18日時点でトヨタの社員ら数世帯が入居済みだ。「家賃は周辺エリアの相場と同程度」と、ウーブン・バイ・トヨタの広報担当者は明かす。「26年度からウィーバーズを増やし、ウーブン・シティが本格稼働する。ここまでの3カ月は準備期間だ。施設内の顔認証システムなどでトラブルもあったが、住人の受け入れ体制は整ってきた。具体的な時期は決まっていないが、一般来訪者の受け入れも26年度以降に始めるつもりだ」と説明する。
造成工事が進むPhase2(第2期)エリアでは、約18万2000m2の敷地に住居棟などをさらに建てる。第1期エリアの住人から住環境のフィードバックを得て、第2期の計画に反映するという。将来的には都市全体で約2000人が住める環境を整える。26年夏ごろには造成工事が一段落。その後に建物の建設工事を始める予定だ。
残り約6万5000m2の敷地では、旧東富士工場の一部である旧プレス工場建屋を新たな開発拠点施設「Woven Inventor Garage」に改修する工事を進めている。26年内の完成を目指す。
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