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Googleも宇宙データセンター、独自半導体で衛星を編隊飛行 27年実証

日経XTECH / 3/13/2026

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Key Points

  • Googleは宇宙AIデータセンター構想「Project Suncatcher」を推進し、2027年初に宇宙実証を開始する計画を公表した。
  • TPU搭載の衛星群をLEOに展開し、衛星間リンクを10Tbps級で実現することで地上データセンターに代わる演算インフラを目指す。
  • 宇宙ベースのAIは電力・冷却の課題を克服する可能性があり、長期的には地上の電力コストや資源負荷を低減する可能性が示唆されている。
  • 論文では宇宙太陽光発電(SSPS)を活用する長期的解決策として、宇宙空間に太陽電池を多数展開する利点と課題が議論されている。

この記事の3つのポイント

  1. グーグルが宇宙AIデータセンター構想を始動。27年初めに宇宙実証を開始
  2. 独自AIチップ搭載の衛星群を近接編隊飛行させ、10Tbps級の衛星間リンクを実現
  3. 打ち上げ価格が現在の10分の1になれば、電力コストが地上と同等になると試算

 宇宙ビジネス業界のリーダーである米SpaceX(スペースX)が2026年2月に構想を発表して、注目度が一気に高まっている「宇宙AI(人工知能)データセンター」。AI開発で世界トップ企業の1社である米Google(グーグル)も2025年11月に同様の構想「Project Suncatcher(プロジェクト・サンキャッチャー)」を発表し、2027年初めに宇宙実証を始動する。

グーグルは2025年11月に「Project Suncatcher(プロジェクト・サンキャッチャー)」を発表した
グーグルは2025年11月に「Project Suncatcher(プロジェクト・サンキャッチャー)」を発表した
(出所:Google)
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 この構想は、AIの演算処理インフラを宇宙空間に構築する壮大なプロジェクトだ。グーグル独自のAIチップ「TPU(Tensor Processing Unit)」と太陽電池パネルを搭載した小型衛星でコンステレーション(多数の小型人工衛星を連係させて一体的に運用するシステム)を地球低軌道(LEO)に構成し、それらを10Tbps(ビット/秒)級の高速な光衛星通信で接続して宇宙データセンターを構築する。

 同社CEO(最高経営責任者)のSundar Pichai(スンダー・ピチャイ)氏はProject Suncatcherについて、「将来的に宇宙でスケーラブルな機械学習コンピューティングシステムを構築し、太陽エネルギー(その出力は人類が保有する総発電量の100兆倍以上)をより多く活用する方法を探究している」と、X(旧Twitter)に投稿した。

 「現在のAIの進歩は、大規模な地上のデータセンターに依存しているが、これらは膨大な電力と冷却設備を必要とする。AIのための世界的な電力需要は、たとえ近い将来であっても、地上の手段だけで賄うことは不可能だ。長期的に見れば、スケールするための唯一の道は宇宙ベースのAIであることは明らかだ」。スペースX CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏がこう指摘するのと同様、グーグルも将来、需要が急拡大するAIの演算処理へ電力を供給する最善の方法は、太陽の膨大なエネルギーをより直接的に活用できる宇宙インフラを構築することだと考えている。

 グーグルはProject Suncatcherに関する論文の中で、こう記している。「(宇宙空間に巨大な太陽電池と送電アンテナを配置して、発電した電力を地上に伝送する)宇宙太陽光発電(SSPS:Space Solar Power Systems)の構想は以前からあるが、最大の課題は生成された電力を地球に伝送する点にある。(提案手法は)長期的に最もスケーラブルな解決策であると同時に、地球上の土地や水など資源への影響を最小限に抑えられるという利点もある」。宇宙空間に太陽電池パネルを多数展開することで、地上と比較して最大8倍の発電効率で連続的に電力を生成できるとしている。

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小型衛星を近接編隊飛行

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