2026年のプリツカー建築賞は、スミルハン・ラディック・クラーク氏が受賞した。チリの建築家としては、16年のアレハンドロ・アラベナ氏に続く2人目の快挙だ。ラディック氏は1965年生まれ。これまで米国芸術文化アカデミーによるアーノルド・W・ブルーナー記念賞(18年)など数々の建築賞を受賞してきた。
プリツカー建築賞はハイアット・ホテル・グループのオーナーである故ジェイ・アーサー・プリツカー氏とその妻シンディー氏が1979年に創設した。建築界のノーベル賞とも称され、世界的に注目度の高い建築賞の1つだ。ラディック氏は55回目の受賞者となる。
同賞を主催するハイアット財団が26年3月12日に発表した。例年5月に開催する授賞式の詳細は明らかにされていない。25年は「ルーブル・アブダビ」(アラブ首長国連邦・アブダビ、17年)で開催された。
同賞の審査委員長でもあるアラベナ氏は、「どの作品においても斬新な独創性を持って答えを提示しており、見えないものを明白にしている」と評する。過酷な環境の下で活動してきたことなどを踏まえ、「建築環境と人間の在り方について核心に導くことができる」とした。
講評によると、審査委員はラディック氏が「確実性」よりも「はかなさ」を重んじていると評した。彼の建築物は一見すると一時的で不安定、意図的に未完成なものだが、構造化されていて楽観的で静かな喜びに満ちたシェルターを提供しているという。審査委員には、10年にプリツカー賞を受賞した妹島和世氏も名を連ねる。
ラディック氏は、14年に「サーペンタインギャラリー・パビリオン」(英国・ロンドン)を手掛けたことでも知られる。これは夏季限定で仮設のパビリオンを設営する取り組みで、故ザハ・ハディド氏といった著名な建築家が設計してきた。
受賞に際して、ラディック氏は次のようなコメントを出した。「異なる時間が交錯する緊張感の中で、感情的な体験を作ることに努めている。人々がしばしば無関心なまま通り過ぎてしまうこの世界について、立ち止まって改めて考え直すように働きかけたい」
同氏は建築について「建築は、巨大で重厚かつ永続的な形態(何世紀にもわたって太陽の下で人々の訪れを待つもの)と、より小さくはかない構造物(ハエの命のように短く従来の見方では明確な運命を持たないもの)との間に存在するものだ」と語った。
次のページ
ラディック氏の代表作を見るこの記事は有料会員限定です






