水平対向エンジンを武器に、根強い人気を誇るSUBARU。新型コロナウイルス禍を契機にDX(デジタル変革)を推し進めてきた。クルマを「売って終わり」のビジネスから転換し更なる変革を目指す。
私が中途入社した2019年には、SUBARUはまだ紙とハンコによる業務が多く残る会社だった。ものづくりへのこだわりは一流だが、経理や人事といったバックヤード業務の改革には手が回っていなかった。
このような状態では業務に無駄が多くなる。私はとにかく無駄が好きではない。従業員にも無駄なことに時間を割いてほしくなかった。新型コロナウイルス禍でのリモートワークの普及を「追い風」に一気にDX(デジタル変革)を進めた。
製造工程のDXも推進
会計システムには独SAPのERP(統合基幹業務システム)を導入し、人事システムにはWorks Human Intelligence(WHI)の「COMPANY」を導入した。VPN(仮想私設網)を整備してリモートワークの環境も整えた。結果として、通常であれば10年かかるようなバックヤード業務のDXを、1年ほどでやり遂げた。
バックヤード業務だけでなく、製造工程の改革も実施している。例えば、車両や部品に関するデータの連携だ。当社では100年以上の歴史の中で、データは製造や開発、販売などの部署ごとに縦割りのシステムで管理していた。
そこで、部品のトレーサビリティーを実現するため、サイロ化したデータを車両コードを基に横串で管理するようにした。品質管理では、どの部品がどの車両に使用され、その車両がどこの販売店で販売されているのかといった情報は必須だ。以前は縦割りのデータを必死に追跡することで管理していた。
販売後の車両の状態なども顧客の同意を得て把握できるようにした。例えば車両の故障や衝突時にDCM(車載通信機)から得られる情報を、トレーサビリティーの一環として活用する取り組みも実施している。
これにより、故障や衝突時の車両の状態などを的確に把握することができる。データはメーカー側と販売店側で共有する。これまでの「売って終わり」のビジネスから「購入後も継続的にユーザーとつながる」ビジネスへと転換した。
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