フィジカルAI、まずは工場で本格展開へ NVIDIAとFAメーカーのデータ争い激化

日経XTECH / 5/5/2026

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Key Points

  • 2026年に向けてフィジカルAIは、研究・パイロットから工場などでの実装・応用段階へ移行し、現実世界の物理システムを自律制御できる方向に進むと見られる
  • フィジカルAIはロボット/ドローン/自動運転/工場設備などが環境を知覚して最適動作するためのAI技術群で、従来の繰り返し型ロボットより利用範囲の拡大が期待される
  • 現時点では現実世界への本格適用は限定的で、AIエージェントやデジタルツインの整備は進む一方、実装はなお課題が残る
  • TeslaのOptimusは2026年初めの量産開始を目指すとされるが、ハード・ソフト統合の難しさや電池性能などがボトルネックになっているとの指摘がある
  • 次のページでは「実装が最初に進む領域」として、工場が中心になる見立てや関連プレイヤーの動き(NVIDIAとFAメーカーのデータ争いの激化)に触れる構成となっている
フィジカルAIは工場での活用が先行する(出所:シーメンス)
フィジカルAIは工場での活用が先行する(出所:シーメンス)
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 2026年、フィジカルAIは具体的な実装が加速する。研究・パイロット段階から応用段階へと大きく進化を遂げるだろう。従来のAI(人工知能)とは異なり、工場設備や自動走行する車両などの装置を自律的に動かすフィジカルAIは、AIが持つ推論力を実世界の物事や現象と統合し、多様な環境に適応できるようになる。

(出所:日経クロステック)
(出所:日経クロステック)
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 フィジカルAIとは、現実世界で動くロボットや装置が、周囲の環境や取り扱う対象を知覚して最適な動作をするよう設計されたAI技術全体を指す。ロボットやドローン、自動運転車両、工場の設備などの物理的なシステムに対して環境を認識・推論し、自律的に動作する能力を与える。例えば、知性的に動くロボットを実現でき、所定の動きを繰り返すこれまでのロボットに比べて利用範囲が大きく広がる。

 フィジカルAIはまだ実装の初期段階にある。三菱総合研究所先進技術センター主席研究員の松本昌昭氏は「現時点ではフィジカルAIの活用によるロボットの自動化は限定的だ」と話す。AIエージェントやデジタルツインといった仮想空間上でAIを使う仕組みは整いつつあるが、その先の現実世界への適用は依然として進んでいない。米Tesla(テスラ)が開発するAI搭載の人型ロボット「Optimus(オプティマス)」は、2026年初めに量産の開始を目指すとされていたが、ハードとソフトの統合の難しさや電池性能の課題などによって開発は難航しているとの指摘もある。

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実装が最初に進むのは

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