AI(人工知能)がソフトウエアを開発する能力は、2025年11月以降に急上昇したとの評判だ。すると同時に、求人サイト「Indeed」におけるソフト開発者の求人数が米国で増え始めた。コンサルティング企業やビッグテックがソフト開発者の求人を増やしたのが原因だ。
Indeedにおける求人数の動向は、リクルート子会社である米Indeed(インディード)のシンクタンク「Indeed Hiring Lab」がWebサイトで公開している。Webサイト「Hiring Lab Data Portal」から「Postings」のタブを選び、「Sector」のタブから「Country」として「United States」を、「Sector」として「Software Development」を選ぶと、ソフト開発者の求人数のトレンドが誰でも閲覧できる。
Indeed Hiring LabのWebサイト https://data.indeed.com/米国におけるソフト開発者求人数の指数は2025年10月1日には「64.31」だったのが、11月末には「66.61」、12月末には「67.13」と上昇し始め、2026年1月末には「69.04」、2月末には「70.43」を記録している。直近の3月13日の数値は「70.92」である。
米国でソフト開発者の求人数が増加し始めた2025年11月は、ソフト開発用のAIエージェントである「コーディングエージェント」の能力が急上昇したタイミングであった。
「Vibe Coding(バイブコーディング)」の提唱者であるAndrej Karpathy(アンドレイ・カルパシー)氏が2026年1月にSNSのXに行った投稿によれば、2025年11月までカルパシー氏のコーディング作業は「手動+オートコンプリート(開発ツールが備えるコード補完機能の利用)が80%で、エージェントによるものが20%」だったのが、「12月には、80%がエージェントによるコーディングで、20%がそれを編集し修正するという状況に急速に移行した」という。
米OpenAI(オープンAI)の共同設立者の1人で、米Tesla(テスラ)のAI責任者を務めた経験もあるカルパシー氏が「自身の約20年に及ぶプログラミング経験の中でも最大級の変化が、わずか数週間で起きた」という状況の中で、ソフト開発者の求人数は増え始めたのである。
「AI暴露」が高いほど求人数は増加
Indeed Hiring Labは2025年9月に公表したリポート「AI at Work Report 2025: How GenAI is Rewiring the DNA of Jobs」で、どの仕事がAIからの影響を受けやすいかを「AI Exposure(AI暴露)」として示している。
Exposure(暴露)は「ウイルスへの暴露」や「放射線への暴露」などで使われる言葉であり、どちらかというとネガティブなニュアンスが含まれる単語である。同リポートではAI Exposureの度合いが最も高いのはSoftware Development(ソフト開発)であり、Data&Analytics(データと分析)やAccounting(会計)、Marketing(マーケティング)が続くとしていた。
ところが現在は「AI Exposureが高めの求人で回復・上昇の傾向が見られる」(Indeed Hiring Labの青木雄介エコノミスト)という状況だ。青木エコノミストはその要因として「AIの進化に伴って、それをうまく使いこなす仕事が求められているからだ」と分析する。
また青木エコノミストは、米国においてソフト開発者の求人を増やしている上位10社のうちの5社をコンサルティング企業またはITベンダーが、3社をビッグテックが占めていると明かす。2025年は米国のビッグテックやコンサルティング企業のレイオフが複数報じられているが、直近ではこれらの企業はソフト開発者の求人を増やしているのだ。
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