オープン化で自前主義から脱却も、産業用以外でも人型ロボットは静観

日経XTECH / 4/30/2026

📰 NewsSignals & Early TrendsIndustry & Market Moves

Key Points

  • ファナックはNVIDIAと組み、ロボット制御のオープン化を進めて外部AI技術を取り込み、これまで難しかった自動化領域の実現を加速する方針だ。
  • 「フィジカルAI」では、作業中の3次元的な位置把握をリアルタイムに行い、対象をつかんだうえで作業まで完了する高度自動化を目指す。
  • 自動化の裾野拡大として、ロボット工学やプログラミングを学んでいなくても使えるようにし、音声認識から自動でプログラム生成・実行する世界観を掲げる。
  • フィジカルAIが進んでもロボットSIerは不要にならず、人が足りない地域・技術がない分野の拡張や現場の調整・工夫の継続で役割はむしろ広がると述べた。
  • ブームになっている人型ロボットには距離を置き、まずは生産現場に注力して投資と開発を進める姿勢が示されている。

INTERVIEW
安部健一郎氏
ファナック ロボット研究開発統括本部統括本部長

産業用ロボット大手のファナックは米NVI DI A(エヌビディア)と組み、ロボット制御のオープン化を加速している。外部の最先端AI技術を積極的に取り入れ、これまで困難だった領域の自動化に積極的に取り組む。2027年ごろまでに9000万米ドル(約143億円)を投じて米国に新工場を建設し、フィジカルAIの需要増に対応する。一方で、昨今ブームに沸く人型ロボットとは距離を置く。ロボット事業を率いる安部氏に戦略を聞いた。

フィジカルAIで目指す世界を教えてほしい。

 大きく2つある。1つは今までできなかった高度な作業の実現だ。例えば3次元的に動いて

 いるワークの位置をリアルタイムに把握しながら見てつかむだけでなく、作業までこなせる。

 もう1つは、簡単に(自動化)できるようにしていくこと。ロボットの需要が広がる一方で、自動化技術を持つ人材が少ないため、ロボット工学やプログラミングを習っていなくても(ロボットを)使えるようにする必要がある。例えば、言葉を認識して自動でプログラムを書き、それを実行するといった世界だ。

(フィジカルAIによる)自動化が進むと、現場での微調整やティーチングが要らなくなると言われている。現場への導入に当たってロボットシステムインテグレーター(SIer)の仕事は減るのか。

 決してSIerが要らなくなるわけではない。自動化したい領域が増えている中、(フィジカルAIは)SIerがいない地域や技術がない分野を拡張し、人材不足を補完するためのものだ。泥臭い仕事は減るかもしれないが、ロボットが人の職場を奪うわけではなく、人が足りないところを埋めるのが役目となる。

 今後も現場でのひとひねり(調整や工夫)が必要になるため、SIerの活躍の場は今後も求められるし、(フィジカルAIによる自動化が)増えれば増えるほど活躍の場は広がると思う。

ロボットSIerの仕事はなくならない
ロボットSIerの仕事はなくならない
フィジカルAIによる自動化が進んでも、人手不足で自動化要求が高まる中でロボットSIerの仕事はなくならないと安部氏は語る。(写真:中山博敬)
[画像のクリックで拡大表示]

次のページ

今は生産現場に注力、人型には参入せず

この記事は有料会員限定です