この記事の3つのポイント
- TOKIUMの目指す姿は「全員営業、全員エンジニア、全員リーダー」
- 「AIオールイン」DeNAは職種横断のAIジェネラリストコース設置
- GMOインターネットグループは1人最大月1万円目安、AIツール利用料補助の動き
経理AI(人工知能)エージェントを手掛けるTOKIUMは、非エンジニアとして入社した人材の一部を1カ月後にエンジニア職へ転換している。AIによりコーディングが容易になり、非エンジニア人材もシステム開発をしやすくなったことが背景にある。AIの利用は職種を問わない必須スキルであり、AIを使いこなすことで職種の壁を越えて活躍できる「越境人材」となる。越境人材をどう育てるか。ディー・エヌ・エー(DeNA)とダイキン工業における新人育成の施策も紹介する。
「ビジネス職で応募してくれた新人に、入社1カ月後、『エンジニアにならないか』と提案する。そして研修を経て本配属ではエンジニアとする」。TOKIUMの西山希執行役員CFO(最高財務責任者)コーポレート本部長は同社の施策をこう説明する。採用はビジネス職とエンジニア職とに分けているが、全体研修後の本配属で転向を打診する。2025年と同様、2026年もビジネス職の新人に打診する予定だ。
AI時代に活躍できる人材を育てようとする明確なビジョンあってのことだ。西山CFOは「(AI技術の進展により)エンジニアはコードを書いているだけではダメ、ビジネス職はコードを書けないとダメ。両者が歩み寄る時代が来る」と言う。コードはAIが書ける。人に必要なのは、顧客のニーズを聞き出し、何をつくるかを指示したり、コードの質の良しあしを判断したりする能力だ。
目指す姿は「全員営業、全員エンジニア、全員リーダー」。実際にTOKIUMの営業では、新規プロダクトのプロトタイプをすぐにつくるなど、AIツールを使いこなしてエンジニア領域まで踏み込んで活躍する人材がいるという。
2025年4月には16人のビジネス職と2人のエンジニア職の計18人が入社。ビジネス職からエンジニア職に転向したのは、7人だという。入社直後の全体研修で、AIを活用してコーディングしツールを実際につくるといったプログラムを実施した。その後、エンジニアリングが好きになれそうか、希望があるか、得意かどうかなどの適性を見つつスカウトしたり立候補を募ったりした。
エンジニア職に配属された人であっても、社内業務にとどまらず、顧客との商談に同席して自ら説明をするなど対外的業務に関わる。「もともとビジネス職で採用している基礎スキルがあるからこそ、顧客と問題なく対話できる」(TOKIUMの西山CFO)。
これは強制的な転換ではなく、あくまでも打診である。例えばどうしても営業を担当したいと熱望する人もいるだろう。その場合、ビジネス職/エンジニア職の「両利き」に意味があると伝えた上で、進みたい職種へ背中を押すという。
ビジネス職として採用した人材にエンジニアリング力を身に付けてもらえば事足りるようだが、なぜ、わざわざ配属まで変えるのか。それは顧客に継続して利用してもらえるレベルのツールを、責任を持ってつくり切る経験を積ませたいからだ。
顧客に自社製品を提案する場合を考える。リリースまでやり遂げた製品を、責任を持って提案して顧客に継続して利用してもらいフィードバックを直接受けるのと、AIと数回対話してつくったプロトタイプを見せて説明するだけでは、成長に大きな差が出る。エンジニアとして製品をつくり提供する経験をしてからビジネス職に再転換すれば、手触り感を持ってプロダクト開発について的確に語れるため、顧客や自社エンジニアと、よりスピーディーにやり取りできる。
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