米国とイスラエルによるイラン攻撃が化学工業に及ぼす影響について、旭化成代表取締役社長の工藤幸四郎氏は「ナフサは何とか調達可能。製品価格は上昇してもプラントの稼働率は大きくは下がらない」などと述べた。同社が進める石油化学関連事業の構造転換については方針の変化がないとした。2026年4月15日に開催した経営説明会で明らかにした。
工藤氏は「中期経営計画2027」の進捗に関して、好調な半導体向け材料事業の強化、EV(電気自動車)の需要低迷による電池用セパレーター事業の軌道修正、石油化学関連事業の構造転換などについて説明するのに加えて、イラン攻撃の影響について言及。同社の各事業について横断的に進めているAI(人工知能)の活用についても説明した。
価格は上がるが、調達は可能
ナフサの調達については「官民挙げて調達にまい進していた」(工藤氏)ところ、ナフサ分解工場(ナフサクラッカー)である三菱ケミカル旭化成エチレン(AMEC)水島工場の稼働は2026年6月中旬ごろまではめどが立ったとした。「ナフサの調達は相当苦労はしているが、調達先の多角化によって調達自体は何とかなるのではと思っている」(同氏)という。「AMECの稼働率は、もともと非常に低かったので、あまり変わらない稼働率か、やや下回るくらいで推移するのではないか」(同氏)
「実は既にかなりの期間、ナフサクラッカーの稼働率は80%を切るような最低の水準に近いところだった。胸を張れる状況ではないが、今回ナフサの調達がぎりぎりになったとしても、稼働率はあまり変わらない。今後は楽観できないが、歯を食いしばって生産しようとしている」(同氏)。
ただし、ナフサの価格は2倍近くになっているため、顧客への供給価格は引き上げざるを得ない状況になっている。同社の顧客である化学メーカーは、石油化学工業全体で見ると上流に当たり、そこでは「お互いに稼働率を落とすと、その先(川下)の顧客に迷惑がかかるため、稼働率はできるだけ落とさないように進めている。価格については、互いに分担する形だが、転嫁は進んでいる」(同氏)という。
今後、価格転嫁が川下の製品に及んでくると「消費者に受け入れられるか、という問題がどこかの時点で必ず出てくると考えている」(同氏)。そのときに販売量をどのくらい維持できるかがポイントになるという認識を示した。
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