AIが見つけた紛失カッターナイフ
数日前から、カッターナイフが見当たらなくなりました。
いつもなら、リビングテーブル横の“夫専用引き出し”にきちんと収まっているはずのものです。
「使ったものは元の場所にもどす」
そのルールをきっちり守る夫が、まず疑うのは・・・私。でも、使った記憶がありません。

せっかくの休日だというのに、家じゅうをガサゴソと探し回り、「どこや、どこや」と落ちつかない夫。一度スイッチが入ると止まらないタイプです。
あまりにも騒がしいので、夕食後、試しにChatGPTへ音声入力してみました。
「自宅でカッターがなくなりました。探してください」と。
すると、「物理的に一緒に探すことはできませんが」と丁寧な前置きのあと、探し方のポイントを5つも教えてくれたのです。
それを私は、わざわざ夫に“聞こえるように”大きな声で読みあげました。

私はというと、自分用のカッターナイフを2本持っています。
郵便物はハサミで開けるし、段ボールも基本は手で開封。ほとんど使っていません。
証拠としてその2本を見せても、夫は首を横に振るばかり。
「100%、お前やろ」「どこで使ったか思い出せ」
まるで取り調べです。
仕方なく、私のカッターを1本差し出して
「これを使えばいいでしょ」と言っても、
「そういうことじゃないんよ。気になるんよ」
・・・なぜか渋い顔でキメてきます。
カッターナイフ刑事、誕生の瞬間でした。
その後も捜索はつづき、私はあきれて先に就寝。
翌日、自室でパソコンを触っていると、リビングから弾んだ声が聞こえました。
「あった!」
急いで行くと、錆びついたカッターナイフを掲げて満面の笑みの夫。
「見つけたで!オレすごない?」

…いや、その前に聞きたい。
「どこにあったの?」
ところが、なかなか答えない。
かわりに始まったのは、やたらと長い“解説”でした。
「AIの言う通りに考えてみたんよ、ずっと」
使った場所や服装を思い出し、ありがちな場所を再確認し、見落としがちなところもチェック。さらに“低い視点”で見なおす。
その結果、ベッドでうとうとしながら
「ここやないか?」とひらめいたそうです。
その場所とは…
何度も探した、洗濯機の中。
ドラム式洗濯機のゴムパッキンの隙間に、しっかり挟まっていました。

そういえば夫は、作業服のポケットに物を入れたまま洗濯する常習犯。
ボールペンをいっしょに回した前科も、何度もあります。
つまり、犯人は夫。
「私じゃなかったでしょ!」と詰めよると、
夫はニヤニヤしながらごまかします。
「テヘヘ」
じゃないんですよ!
数日間、洗濯機の中で過ごしたカッターの刃は、見事にサビだらけ。
「新しい刃に替えたばっかりやったんよな〜」と、どこか他人事のような夫。
だから、最後に使ったのは、あなたです。
そう言っても、けっして認めない夫なのでした。





