三井住友カードが「AIオペレーター」 電話で円滑に対話、回答内容は顧客別

日経XTECH / 4/9/2026

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Key Points

  • 三井住友カードがコールセンターに「AIオペレーター」を導入し、専用番号への電話でAIが音声対話しつつ顧客別に回答文を即時生成する仕組みを開始した。
  • 2025年12月に不審通知(フィッシング詐欺など)対応、2026年2月に「クレジットカードが使えない」問い合わせ対応を追加し、今後は対象業務を拡大する方針だ。
  • 従来のIVRを超え、会話の文脈に応じて社内システムと連係し、一定条件では利用制限の解除などの処理まで自動化する例が示されている。
  • 月間50万件超の電話に24時間365日で応対する同社は、人員シフトだけでは吸収しきれない繁閑の波に対し「常に一定品質で応答」するためAIを本格化している。

 三井住友カードは、自社のコールセンターにおける顧客対応にAI(人工知能)オペレーターを導入した。顧客がAIオペレーター専用の電話番号に問い合わせると、AIオペレーターが人間の代わりに応対し、音声でやり取りする。定型の応答だけでなく、個々の顧客の状況に応じた返答を即座に生成して音声で回答し、人間のオペレーターと同様の自然なやり取りができるのが特徴だ。

 2025年12月にフィッシング詐欺などの不審な通知に関する問い合わせ受付業務を開始し、2026年2月にクレジットカードが使えない場合の問い合わせ受付業務を追加した。今後はこの2つ以外にも対象業務を拡大する方針で、将来的には「AIが主流、人間が補完する」体制への移行を見据える。

三井住友カードのオペレーターが応対業務をする様子
三井住友カードのオペレーターが応対業務をする様子
(写真:日経クロステック)
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月間50万件の電話に応対

 三井住友カードは東京・大阪・名古屋・札幌の4拠点の「コンタクトセンター」を置く。約1200人のオペレーターを擁し、24時間365日体制で月間50万件を超える電話に応対している。同社は現在も、顧客接点として電話を重要視しており、特に緊急性の高い問い合わせでは利用が集中する。

 同社が目指すのは安定した応答体制の維持だ。一般にコールセンターが受ける問い合わせなどの電話には繁閑の波がある。これに対し同社は、これまでも人員シフトや拠点間の連係で対応してきたが、天候や交通障害などの外部要因もあり、必ずしも繁閑の波を吸収し切れるとは限らない。

 「顧客にとっては『いつでもつながること』が前提であり、オペレーターの都合は関係ない」(三井住友カードの⼤保友実オペレーションサービス本部AIイノベーションデザイン部トライブリード兼グループ⻑)。そこで同社は課題解決に向け「24時間365日、常に一定品質で応答できる仕組み」としてAIの利用を本格化。2025年12月にソフトバンク子会社であるGen-AXの「X-Ghost(クロスゴースト)」を導入した。

 導入したX-Ghostは、従来のIVR(自動音声応答)とは異なり、顧客との自然な会話を特徴とする音声AIだ。単なるFAQ(よくある質問と回答)に基づく音声チャットボットにとどまらず、会話の文脈に応じて社内システムと連係し、個々の顧客の状況に応じて回答。実際の業務処理まで踏み込む。

 例えば「カードが使えない理由」の問い合わせに回答する際は、電話をかけてきた顧客の利用状況や限度額などのデータを参照する。一定の条件を満たす場合は、利用制限を解除するといった処理も自動で対応する。

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OpenAIの「Realtime API」使用

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