AI時代、エンジニアのWILLから始まる転職をつくりたい——Findy EMとしていま考えていること

note / 4/16/2026

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Key Points

  • AI時代における転職の出発点を「スキル」ではなく“エンジニアのWILL(志向・目指す方向)”に置き、これを起点にキャリアを設計したいという問題意識が示されている
  • Findy EMとして、AIの普及で職種や求められる能力が変化する中でも、個人の目的と市場の変化をつなぐ転職体験を作る方針が語られている
  • WILLを中心に据えることで、エンジニアが自分の強みを再定義しやすくなり、納得感の高い意思決定につながることが論点になっている
  • 具体的には、転職プロセスの設計(評価やマッチングの考え方など)をWILLから逆算して改善していく構想が示されている
  • AI時代の“転職の考え方”そのものをアップデートする試みとして、本人理解とキャリアの言語化を重視する姿勢が強調されている
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AI時代、エンジニアのWILLから始まる転職をつくりたい——Findy EMとしていま考えていること

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shakemurasan

はじめまして。ファインディ株式会社でエンジニア向けの転職サービスFindyのエンジニアリングマネージャーをしている松村(@shakemurasan)です。2022年にファインディに入社し、Findyの開発エンジニアとしてプロダクトに向き合ってきました。

2025年からはEMとして段階的に管掌範囲を広げながら、いまは札幌からフルリモートで開発組織づくりに取り組んでいます。私のチームではエンジニアの1/3程度が地方都市からのフルリモート、残りが東京オフィス近郊在住のハイブリッドなチーム構成になっています。

今回は、AI時代においてエンジニアの転職マッチングがどう変わっていくのか、そしてFindyが目指す未来と、そこにある「面白いけどまだできていない」課題についてお話ししたいと思います。

いま何が起きているか

生成AIによって、エンジニアが「つくれる量」は爆発的に増えました。しかしその一方で「何をつくるか」「なぜつくるか」の意思決定コストは上がり続けています。エンジニアの仕事は消えるどころか、可能性や業務範囲が広がり続けています。

弊社の神谷が自身の記事で「AIが進化しても変わらないのは、リリースされたプロダクトを安定させ、継続的に高い価値を出し続けること」と語っています。

私も同感です。コードを書く行為の比重が下がるほど、エンジニアに求められるのは「仮説を立て、検証し、プロダクトを通じて事業を前に進める力」です。神谷の言葉を借りれば、「プロダクトに向き合うことに立ち戻る」ことが、AI時代のエンジニアにとって最も重要な姿勢だと思います。

この変化は当然、採用市場にも波及しています。企業が求めるのはスキルセットの一致だけではなく、志向性やキャリアビジョン、事業への共感まで含めた深いフィット。だからこそ、マッチングそのものを再定義する必要がある。Findyは転職サービスという枠にとどまらない新しいあり方を目指しています。

エンジニアから見たFindyの強み

Findyの開発組織に身を置いていて、他のプロダクト開発と明確に違うと感じるポイントがあります。それは「開発者自身がターゲットユーザーである」ということです。

私たちはエンジニア向けの転職サービスをつくっています。つまり、開発チームのメンバー全員がサービスの潜在的なユーザーです。「この機能、自分が転職活動するとしたら使いたいか?」という問いに対して、等身大で考えることができる。これは想像以上に大きなアドバンテージです。PdMにも元エンジニアが多く、企画段階からエンジニアリングの視点が自然に入ります。ビジネスサイドからのエンジニアリスペクトも強く、自分自身がユーザーだからこそプロダクトに対する解像度が高い状態で開発に臨めています。

また、ファインディはエンジニア採用市場の最前線にいる会社でもあります。定期的に発行しているエンジニア調査レポートはエンジニアの転職動向や市場トレンドを詳細にまとめたもので、開発メンバーもこうした情報に自然と触れる機会が多くあります。

自分自身の市場価値やキャリアとも向き合いながら開発に取り組める環境は、なかなか他にはないのではないでしょうか。

もうひとつ象徴的なエピソードを紹介させてください。当時、まだファインディ入社前のエンジニアである大石が、ファインディ主催の技術イベント「TechBrew」でLT登壇デビューを果たしました。さらに、別企業所属の弟さんも同じくファインディ主催の「Hello LT World」で先月ご登壇。兄弟でファインディのイベントに立つという光景は、社内でも「エモい」と話題になりました。
ファインディはエンジニア向けのイベントを幅広いテーマで数多く主催しており、開発メンバー自身がそこで発信し、成長できる文化があります。自分たちのプロダクトがエンジニアの成長やキャリアに直接つながっていることを、こうした瞬間に実感します。

Findyサービスの未来

ファインディは「挑戦するエンジニアのプラットフォームをつくる」というビジョンを掲げています。その中でFindyが担う役割は、マッチングをもう一度つくり直すこと。EMとして日々プロダクトに向き合う立場から、その意味を自分なりの言葉で語ってみたいと思います。

転職はゴールではなく、WILLと向き合い続けた結果

私がFindyの未来を考えるとき、最も大切にしている視点があります。それは「転職はあくまでライフイベントのひとつであり、エンジニアが自分の成長とWILL(意志)に向き合い続けた結果として起きるもの」という考え方です。

多くの転職サービスは、転職活動を始めた瞬間から関係が始まり、入社が決まった瞬間に関係が終わります。でも、エンジニアのキャリアは連続しているものです。転職を考え始めるずっと前から「自分はどうなりたいのか」「いま自分は成長できているのか」という問いがあり、その延長線上に転職という選択肢がある。Findyが本当にやりたいのは、この連続したキャリアの中でエンジニアが常に頼れる存在になることです。

AI時代の不確実性の中でこそ、マッチングの価値が上がる

AI時代に入り、エンジニアのキャリアに対する不安と期待が入り混じっています。「自分のスキルはこの先も通用するのか」「どんな環境に身を置けば成長し続けられるのか」――こうした問いは、かつてないほど切実になっています。私自身もそうです。

一方で、企業側も同じように不確実性と戦っています。AI前提で組織や開発プロセスをつくり直す必要がある中で、どんなエンジニアと一緒に走るべきかの判断はより難しくなっています。
この双方の不確実性が高まるからこそ、マッチングの価値は下がるのではなく、むしろ上がっていくと私は確信しています。スキルの一致だけではなく、志向性・成長フェーズ・組織カルチャーとの相性まで含めた深いマッチングを実現すること。8年以上かけて蓄積してきたデータとコミュニティを活かしながら、AIの力でそのマッチング精度を飛躍的に高めていくこと。これがFindyのこれからの挑戦です。

そして、エンジニアが自分のWILLに向き合うためには、転職活動の手前にある「気づき」の機会が欠かせません。Findyでは、まさにその入口となるコンテンツや機能をプロダクトの中に組み込んでいます。

たとえばメディアでは、テックリードやエンジニアリングマネージャー、OSSコントリビューターなど、さまざまなキャリアを歩むエンジニアから寄稿いただいた記事やインタビューを発信しています。OSS応援の取り組みから、カンファレンスやイベント登壇者自身のレポートまで、幅広いシリーズを通じて「自分はこの先どうなりたいのか」「エンジニア界隈は今後どうなっていきそうか」を考えるきっかけに触れることができます。

また、先の項でも紹介した イベントでは技術トレンドにスポットを当てたものからLTや各企業での実践事例まで、多彩なテーマで定期的に開催しています。こうした場に参加すること自体が、自分のキャリアの現在地を確かめる行為になると感じています。

直近リリースした価値発揮レポートは、プロフィールと診断質問をもとに、エンジニアとしての適性や潜在的なWILLを可視化してくれる機能です。
私自身も試してみたのですが、「技術美学を持つチームビルダー型エンジニアリングマネージャー」という結果が出て、気恥ずかしさこそあるものの、特に以下の文言は芯を食っていて自分の信条に改めて気付かされました。

技術品質へのこだわりと育成・チームビルディングへの強い意欲は、開発体制の整備とプロダクト成長の両立が求められるシリーズB〜Cのフェーズで最大限に活きます。技術的負債の解消と組織としての開発速度向上を同時に推進できるマネージャーとして、現場の信頼を得ながら組織を前進させる役割にぴったりフィットします。

https://findy-code.io/value-report
価値発揮レポートの結果サマリ部分
価値発揮レポートのキャリア傾向分析部分。
技術的な成長とキャリアを望んで当時ファインディに決めたのを思い出した。
そして今は「モチベーションが下がる時」のチームにならないようEMとして心がけている。

転職を考える前から、今の開発組織の中で自分の適性はどう発揮できていそうか、自分のWILLは何なのか知る手がかりとして使ってもらえたらと思っています。
単なる転職サービスにとどまらず、エンジニアが不確実な時代の中でも自分のWILLに向き合い続けられる場所をつくる。それが、Findyが目指す姿です。

未来に向けた"いまの課題"

ここからは、Findyのプロダクトが抱える「いまの課題」についてお話しします。ただし、ここで語りたいのはネガティブな困りごとではありません。「面白いけど、まだできていない」こと。言い換えれば、これから入ってくれる仲間と一緒に取り組みたいテーマです。

小規模精鋭チームを率いるマネジメント層の拡充

Findyの開発組織には、テックリードをはじめ、シニアなエンジニアの層が厚く、互いに切磋琢磨しながら働ける環境があります。これは大きな強みです。ファインディ全社で見ても、テックブログを通じてエンジニアの発信は積極的に行われています。

一方で、AI時代に適した小規模精鋭チームを複数編成していくにあたり、走りながら意思決定とピープルマネジメントを担う役割を十分に委譲しきれていないのが現状です。技術的な意思決定、チームビルディング、事業との接続——これらを自律的に担えるマネジメント層をもっと増やしていきたいと考えています。

これは裏を返せば裁量の大きさでもあります。まだ型が固まりきっていないからこそ、自分で組織の形をデザインし、チームの文化をつくり、意思決定の仕組みを整えていける余白がある。「決まったルールの中で動く」のではなく、「ルールそのものをつくる側に回れる」環境です。優秀なエンジニアたちと切磋琢磨しながら、自分の手で組織をつくり上げるやりがいを感じていただけるフェーズだと思います。

生成AI時代のアンラーニング

生成AIの台頭によって、これまでの「アタリマエ」を常にアンラーニング(学び直し)し続ける必要に迫られています。これは開発プロセスそのものに及ぶ変化です。
その中でいまFindyの開発チームが特に力を入れているのは、各メンバーがAIを活用して自分の専門領域の隣にある領域にまで染み出し、価値を出していくという取り組みです。すべて直近で起きている動きですが、たとえばこんな事例があります。

  • バックエンドエンジニアがお問い合わせを受けた際の一次調査をAIで自動化

  • フロントエンドエンジニアがデザインフェーズに染み出し、デザイナーと密に会話しながら協働

  • プロダクトマネージャーがAIを活用して簡易な対応をPR作成からリリースまで実施

  • QAエンジニアがAIを活用してテスト観点出しの共通スキル化を推進

  • QAフェーズで起票されたチケットから自動修正する仕組みを提供し、エンジニア以外も直接的な品質向上に寄与

AIがあるからこそ、従来の専門性の壁を越えやすくなっている。この変化をチーム全体で推進していくことは、まさに「面白いけど、まだ道半ば」の挑戦です。
アンラーニングは、個人にとっても組織にとっても簡単なことではありません。昨日まで正解だったやり方を手放す勇気と、新しいやり方を試し続ける粘り強さが必要です。でも、この変化の最前線に身を置けること自体が、エンジニアとしての成長機会だと私は捉えています。

グロースフェーズだからこその面白さ

Findyは8年以上の歴史を持つプロダクトです。多くのユーザーに使われ、事業として収益を上げ続けている。そんなプロダクトをAI時代に合わせて進化させるというのは、ゼロからつくる新規プロダクトとはまったく違う種類の面白さがあります。

新規プロダクトは、自由に設計できる代わりにフィードバックが返ってくるまでに時間がかかります。一方でグロースフェーズのプロダクトには、すでにユーザーがいて、データがあり、ビジネスの制約がある。この制約の中でどうやって新しい価値を生み出すか——ここに創意工夫の余地があり、私はそこにこそ醍醐味を感じています。

たとえば、AIを活かしたマッチング精度の向上。コンセプトとしては明確ですが、既存のマッチングロジックとの整合性、ユーザー体験の一貫性、データの品質管理、セキュリティの担保など、グロースフェーズならではの複雑な変数が絡み合います。「理想的にはこうしたい、でも今の状態からどうそこに持っていくか」を考え抜くプロセスは、制約があるからこそ知的に刺激的です。

また、変更を加えたときのインパクトがすぐに見えるのもグロースフェーズの特権です。施策を打てばユーザーの行動が変わり、数字として返ってくる。自分たちの意思決定が事業に直結している実感を、日々持つことができます。
「面白いけど、まだできていない」ことがFindyにはたくさん残っています。それは課題であると同時に、これから仲間になってくれる方への最大の約束でもあります。

最後に。一緒に、未来をつくりませんか

Findyの開発組織がこの先どうなっていくのか。私がすぐそこに見えている景色があります。
マネジメントレイヤーが厚くなり、各チームが自律的に意思決定しながらプロダクトを前に進めている。AI活用が当たり前になった開発プロセスの中で、エンジニア一人ひとりが専門性の壁を越えて事業に貢献している。マッチングの仕組みがAIによって進化し、エンジニアと企業がより深いレベルで出会える世界が近づいている。

そしてその景色は、いまいるメンバーだけでは実現できません。
この記事を読んでくださっている方の中に、もしこんな方がいたら、ぜひ一度お話ししたいです。

  • AI時代のプロダクト開発に、当事者として向き合いたい方

  • グロースフェーズのプロダクトで、制約の中から新しい価値を生み出すことにワクワクする方

  • 開発組織そのものを設計し、チームの文化をつくることに情熱がある方

  • 自分自身がユーザーであるプロダクトを、等身大で磨き続けたい方

Findyは、エンジニアのキャリアに伴走するプロダクトです。そしてその開発に関わること自体が、自分のキャリアと真剣に向き合う体験になります。私自身、Findyのプロダクト開発を通じて「エンジニアにとって本当に価値ある体験とは何か」を考え続ける日々にやりがいを感じています。

少しでも興味を持ってくださったなら、ぜひカジュアルにお話ししましょう。一緒に、Findyの未来をつくりませんか。


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