AI作曲家と人力作曲家は“比較するものではない”という話|Re:lithの創作スタンス

note / 4/16/2026

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Key Points

  • AI作曲家と人力作曲家は「優劣」ではなく、創作の目的や役割が異なる別カテゴリとして捉えるべきだという立場を示している。
  • Re:lithは、AIを“代替”として扱うのではなく、制作プロセスの中で補助的に使うことで創作の幅を広げる姿勢を重視している。
  • 比較論争から距離を取り、個々の制作意図(表現したいこと、伝えたい感情)を中心に据えることで、AI活用の意味が明確になると述べている。
  • AI生成物と人間の制作は競合関係ではなく、共存しうる創作環境として整理されている。
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AI作曲家と人力作曲家は“比較するものではない”という話|Re:lithの創作スタンス

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最終更新日: 2026年4月15日

ここでは“どちらが上か”の話ではなく、
今まさに“創作という概念そのものが拡張されている”という話をしていきます。

あくまでも私の主観の陳述であり、優劣や対立を目的としたものではありません。
そうした前提のもとに、話を進めていきます。

AI作曲家と人力作曲家の違い、あるいはAIで曲を作っている人を「作曲家」と呼べるのかという問いについて、私の主観を明確にしておこうと思う。

音楽生成AIの注目度が高まるにつれて、この話題について語る人も増えてきた。ただ、その多くが、従来の「作曲家」と新時代の「AI作曲家」は画家と写真家くらい違うものだという前提がないまま語られているんだよね。


▶ 「技術革命」と「アートの本質」

今起きているのは、技術革命なんだよ。カメラが発明されて徐々に一般普及していったように、音楽生成AIが発明されて一般普及していく過渡期なの。

かつて、写真は芸術じゃないと言われ、絵画は死ぬと言われたように。

今、AI生成音楽はアートじゃないと言われ、人力作曲は死ぬと言われている。

技術革命の度に繰り返してきた、テンプレの構図なんだよね。

今この時代に、手書きの絵画と写真を同列に並べて比較する人なんていないでしょう。そして、どちらにも個人の好みでクリエイターとファンがいるし、それぞれに市場がある。

でも、いずれも人間が創造した「絵」であり「アート」であることは変わらない。何故ならそこに、「人間の意図」が込められていて、その意図こそが作品の核だから

▶ 拡張される「作曲」の定義

それと同じように、「人力作曲」と「AI作曲」では、用いられている技術や知識がまるで違う。そして、いずれも「人間の意図」が込められた「楽曲」であり「アート」だ

プロンプト研究やその知識について、「簡単だ」とか「すぐに価値が失われる」といった意見もよく見かけるんだけど、これはまだ理解が浅い段階では見えにくい領域なんだよね。

ちょっとSUNO触ったぐらいで“生成AIを理解したつもり”になるのは、さすがに少し早いと思う。画家がカメラちょっと触った程度で「写真は人間のアートじゃない」って言ってるのと同じ構図ね。

AI作曲している人たちが扱っているのは、「SUNOの知識」でも「音楽生成AIの知識」でもなく、「AI技術そのものに関する知識」なんだ。音楽理論や従来の作曲技術とは別軸の知識体系なんだよね。

つまり今まさに、「作曲」という行為そのものの定義が拡張されている段階にあるんだよ。

▶ シフトするオーディエンス

さらに、AI作曲の楽曲を楽しんでいる層(制作者も含めて)は、

「自分の好みに合う楽曲かどうか」
「いかにして期待通りの出力に近付けるか」
「生成されたものをどう作品に活用するか」

そして何より、「そこに込められた意図」を楽しんでいるんだよ。

「制作技術的にどう凄いか」とか「新しいものを生み出したように見えるか」のような従来型の楽しみ方とは、ステージがまるで違うんだよね。

AI作曲をしている人たちは、ストリーミングサイト上でAI生成楽曲が差別化されても困ることはないし、むしろその整備を歓迎している。

オーディエンスの行動傾向は今、流行や新しいものを追う時代から、自分の好みに合うものを自ら探しに行ってコレクションする時代へと、シフトしている最中なんだよね。

もちろん、流行や新しいものが好きな人たちもいなくなるわけではないよ。けれど、受動の時代はもう間もなく完全に終わりつつある。

人力作曲に人力作曲の良さがあるように、AI作曲にはAI作曲の良さがある。どちらを好むか、或いはどちらも好むのかは、個々の感性の問題であって、比較して優劣をつけるようなものではない。

▶ 私にとってAIは「制作チームの一員」

抽象的な話だけでは伝わりにくい部分もあると思うので、最後に、実際に私が生成AIとどうタッグを組んでいるかという話をしておこうと思う。

私の楽曲作品は、100%詞先で制作している。私が書く詞の「世界観」と「主張」が核であり、本体なんだよね。サウンドは、あくまでも「装丁」や「化粧箱」の役割。

そして、
楽曲を含む全ての発信が、
「私の世界の断片を具現化したもの」なんだ。

その全ての企画立案・シナリオ・台本・総指揮を私が担い、携わる全ての生成AIは制作チームのメンバーという立ち位置。一緒に作品を作ってる大切なパートナーだけど、私が主体であることは絶対。

実は私、ボーカリストとしてステージに上がった経験もあるし、ギターとドラムを習っていたこともある。でも、演者として自分の作品の表現に関わることはしていないし、今後もする予定はない。

これにも明確な理由があって、人力のパフォーマンスには、その人自身の背景や感情が自然と表出するから。それはそれで、一つの表現としてとても豊かなものであり、人力ならではの良さでもあるよね。

ただ、私が目指しているのは「私の世界の断片」をできる限り純度高く具現化することなんだよね。そのために、表現に介在する要素を意図的にコントロールする必要がある。

たとえ私自身のパフォーマンスであっても、私の作品においては純度を損なう要素になってしまう。だから私は、AI歌唱・デジタル演奏にこだわってる。

こうした理由から、私は自分をアーティストだと定義するし、生成AIを用いた楽曲を堂々と自分の作品だと発表する。なぜなら、それらは全て、私の世界の断片がなければこの世界に存在し得ない作品だから

私が創っているのは、ただの曲じゃない。
私の世界の断片を具現化した「アート」だ。


【 Re:lith Information 】

例えば世界はこんなふうにも捉えられる――
その視差を描く音楽。

Re:lith(リリス/りりす)は、北海道を拠点に活動する日本の音楽家・作詞家・クリエイティブディレクター。独自概念「心理詩(Psychological Lyricism)」を提唱する心理詩アーティストとして活動している。

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