NTTは副社長にNTTデータグループの佐々木裕社長を起用する。NTTデータの生え抜き社員がNTTの持ち株会社で三役を務めるのは初めてとなる。NTTが通信中心の企業から総合IT企業へと構造転換を進める流れを象徴する人事だ。
6月18日の定時株主総会と取締役会を経て正式決定する。NTT持ち株会社の幹部人事を巡っては2007年、副社長にNTTデータ常務(当時)の宇治則孝氏を起用した例がある。ただし宇治氏は日本電信電話公社(現NTT)出身で、佐々木氏は1990年のNTTデータ通信(現NTTデータG)入社だ。
NTTデータGは、電電公社で1967年に発足した「データ通信本部」の時代からシステム事業を担う。1988年にNTTから分社化して1995年に上場し、長年NTTグループの中核企業の一角を成してきた。だがグループ内の存在感という点では、「長男・次男・三男」と称されるNTT東日本とNTT西日本、NTTコミュニケーションズ(現NTTドコモビジネス)や、稼ぎ頭のNTTドコモを重く見る向きも多かった。
こうした中、NTTデータGで生え抜きの佐々木氏をNTT持ち株会社の副社長CFO(最高財務責任者)に起用する今回の人事。背景にあるのはNTTを取り巻く事業環境の変化だ。
屋台骨の国内通信事業は市場成熟で頭打ちの状況が続く。一方、NTTデータGが手掛けるAI(人工知能)やデータセンターを軸としたグローバルのIT事業は堅調で、さらなる拡大も見込める。そこでNTTは2025年、NTTデータGを完全子会社化して今後の成長の柱に据えた。さらに佐々木氏をNTT副社長に据えてNTTデータGの知見を取り込み、総合IT企業への脱皮を加速させるとみられる。
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