NECは4月7日、新たな事業拠点「NEC Innovation Park」を神奈川県川崎市にオープンした。12階建ての自社ビルで、AIやIoTセンサーなどの先端技術を取り入れて働きやすい環境を整えている。研究者1200人を含む約4000人のNEC社員が働く。
顔認証で入退館、気温・湿度・湿度など測定 どんなオフィス?
NEC社員が入館ゲートのカメラに顔をかざすと、扉が自動で開く――これはNEC Innovation Parkの入館時の様子だ。高い精度を誇るNECの顔認証技術とAIカメラを入退館ゲートや各階のドアに導入しており、社員証がいらないストレスフリーの移動を実現した。NECの新拠点、その内側はどうなっているのか。
NECは、自社が“ゼロ番目の顧客”として新技術を使って知見をためる「クライアントゼロ」を実践している。NEC Innovation Parkはそのモデルケースであり、さまざまな新技術を実装している。
フリーアドレス制を採用しており、社員が持つPCと無線機器の通信状況を基に、社員の居場所を見える化している。「誰がどこにいるのか」が分かることで、コミュニケーションが生まれやすくなる。
各階に設置したIoTセンサーで気温や湿度、騒音などを測定して可視化し、従業員が自身に合う環境で働けるようにした。建物全体から得られるデータをAIで分析して、職場環境の改善やデータドリブンな経営判断に生かすという。
新たに「AIコミュニティマネージャー」も開発した。顧客ニーズや業務課題を入力すると、それを解決するのに役立つ社内情報を提案したり、NECグループ関係者のマッチングを支援したりする。
「NEC Innovation Parkの構想時に、AIによって働き方や研究の在り方が変わると見越していました。私は、NEC Innovation Parkを『AIビル』『AIパーク』と呼んでいます。AIを前提として研究や働き方、プロジェクトをどのように進めるか考えています」――NECの吉崎敏文氏(執行役副社長兼COO)はメディア向けセレモニーで、新たな事業拠点についてこう話した。
森田社長「オープンイノベーションの拠点に」 産官学の交流を狙う
NEC Innovation Parkは「新結合を起こし、変革を生み、世界へ広げる」というコンセプトを掲げている。AI開発部門やDX事業部門などの組織が同じビルに集まっており、研究開発とビジネスを密につなげる。今後、パートナー企業の入居や大学の拠点設置も想定している。
NECの森田隆之社長(代表執行役社長兼CEO)は、産官学の交流を生んでオープンイノベーションを促進させる狙いを語った。
「NECが中央研究所を構えているこの地で、『知の拠点』を外部に広めるオープンイノベーションの拠点として立ち上げました。(編集部注:川崎市や東京大学、慶応義塾大学などと連携していることを踏まえて)この活動が地域やアカデミアに広がることを見ていただきたい」
AIネイティブな社会を目指して、NECとともに「NEC東大ラボ」を立ち上げた東京大学の藤井輝夫総長は「未来社会の構築に向けて考えるには、専門性のある人たちが集まって交流しながら、研究開発や社会実装に取り組む必要があります」とコメントして、AIと共生する未来づくりに取り組みたいと意気込みを見せた。
顔認証やIoTセンサー、AIといった先端技術で働きやすい職場環境を実現し、オープンイノベーションに寄与できるのか。
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