インディードリクルートパートナーズのリクルートワークス研究所は2026年4月、2027年3月卒業予定の大学院卒を含む大卒求人倍率に関する調査結果を発表した。27年卒の大卒求人倍率は1.62倍で、26年卒の1.66倍からやや低下した。25年卒は1.75倍であり、2年連続の低下となった。
業種別に見ると、建設業と金融業では、2027年の求人数が前年比プラスだった。一方でそれ以外の業種(製造業、流通業、情報通信業、サービス業)の求人数は前年比0.8~6.2%のマイナスだった。
筆者はこの数値を見て、「ついにAI(人工知能)の影響が求人数に出始めたのだろうか」と一瞬ざわついた。だが求人倍率が減った理由を聞いてみると、どうやらAIの影響とは異なるらしい。リクルートワークス研究所の永沼早央梨主任研究員は求人数が微減した要因について、「26年卒の充足率が低かったことから、企業側が求人数を見直したのではないか」と分析した。
2年連続の減少とはいえ、売り手市場であることに変わりはないという。永沼主任研究員は、現在の日本の新卒雇用における生成AIの影響について「非常に局地的」という見解を示した。
他方、米国では巨大テック企業を中心に人員削減が進む。2026年4月23日には米Meta(メタ)と米Microsoft(マイクロソフト)がそれぞれ8000人規模の人員削減を発表した。米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は26年1月に約1万6000人分の役職を削減すると発表している。これらの背景にはいずれも生成AI関連への投資資金の捻出や、生成AIによる業務効率化を背景とした人員削減といった、AIに関連する動きがある。
巨大テック企業なだけあって数字も大きくショッキングだが、人ごとではいられない。日々のルーティンワークや書類作成において、生成AIの威力は強大だ。これまで人間が多少なりとも時間をかけていた作業を、AIが代わりに自動で終えてくれる。雇用計画が見直しになるのも不思議ではない。
ではなぜ、日本企業では雇用に目立った変化が起きていないのだろうか。生成AIやAIエージェントを業務に取り入れている企業は、日本でも確実に増えてきている。日本では米国ほど企業側から従業員を解雇しにくい事情があるにせよ、何かしらの雇用計画の変更が見られてもよさそうなものだ。
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