ネオジム磁石(レアアース磁石)の需要が大幅に伸長する中で、業界が抱える課題と日本の事業機会に迫る本連載。第1回では、多種多様な産業の心臓部ともいえるネオジム磁石が、AI(人工知能)データセンターや電動車両(xEV)普及にけん引されて需要が増大し、今後ネオジム磁石の供給不足が顕在化する可能性を示した。第2回ではネオジム磁石のプレーヤーの構造変化を捉え、それを前提に第3回では、ネオジム磁石の二大課題と5つの解決策を論じた。最終回となる本稿では、これまでの議論を総括し、日本の原材料プレーヤー、製造装置メーカー、磁石メーカー、磁石ユーザーに対し、短中期および長期で、どのような事業機会があるかを論じる。
原材料プレーヤー:分離・精製からリサイクルも視野に
短中期的な事業機会
日本の原材料プレーヤー(商社・原材料メーカー)にとって、海外の既存原材料メーカーとの連携による原材料の確保が引き続き重要である。これまでも米国、インド、オーストラリア、アフリカなどの採掘プロジェクトへの出資や長期契約を通じて供給網を構築してきた。今後も需要増に対応するため、多様な地域・スキームを組み合わせた原材料確保を継続することが重要だ。
一方で、単なる権益確保にとどまるだけでは十分とは言えない。真の意味で供給力を高めるためには、分離・精製などに踏み出すことも検討すべきだ。分離・精製は、放射性廃棄物が発生する工程であり、そのほとんどを中国に依存している状況にある。環境対応は容易ではないが、需要増加に応える供給力の形成には、同工程への関与も避けて通れないだろう。
また、原材料プレーヤーが原材料を確保する上では、原料販売先確保の不確実性を低減することが重要である。そのため日本でも磁石メーカーとの連携だけでなく、磁石ユーザー(モーターメーカー、エンドユーザー)をも巻き込んで、原材料の長期的な経済性と供給安定性を確保する取り組みができれば非常に意義深い。
長期的な事業機会
リサイクル技術の確立に向けて、原材料メーカーが主導し、商社・リサイクル事業者、製造装置メーカー、磁石メーカーと連携する必要がある。また、リサイクルの経済性を確保することは容易ではないため、磁石ユーザーや磁石メーカーと密に連携して、リサイクル材の活用を促進する必要があるだろう。
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