スーパーゼネコン5社が幹事を務める建設RXコンソーシアム(東京・江東)では、生産性向上に役立つ建設ロボットや遠隔操縦技術などの開発・普及に挑んでいる。米国や中国を中心に開発が加速する人型ロボット(ヒューマノイド)の可能性や、これまで開発してきた単機能ロボットの課題などを、同コンソーシアムの会長を務める竹中工務店の村上陸太専務執行役員に聞いた。(聞き手は山﨑 颯汰)
近年、注目が高まるヒューマノイドは建設業でも使えるでしょうか。
正直なところ、建設分野ではまだ導入に向けた検討は十分に進んでいません。そもそも人型である必要があるのか、という議論の段階です。
例えば、大工は釘を口にくわえて作業しますが、あれは片手でボードを押さえ、もう一方の手で金づちを使って作業するためであって、もし腕が3本以上あれば、その必要はないはずです。足元が不安定な建設現場では、脚が4本あるロボットの方が安定するでしょう。
人型である理由を明確にしなければいけませんね。
サービス業のように、人間とじかに触れ合うような現場であれば、ヒューマノイドの方が親しみやすく、導入のメリットはありそうです。ただ、建設現場ではその必要はあまりないと思いますね。
以前、人型の左官ロボットの開発を検討したことがありました。その際に参考にしたのは、お好み焼きを調理する人型ロボットです。左官のコテさばきと、お好み焼きをひっくり返す動きがどこか似ているように見えませんか。
それで、開発を担当していた人に話を聞いてみると、「あのロボットはあくまで集客・宣伝用。実際にお好み焼きを焼くことだけを考えるなら、コストが合わないので人型にはしない」と言うのです。なるほどと思いました。
同じことが、左官ロボットにも言えます。本当に職人の動きをそのまま再現する必要があるのか。もし目的が「壁をきれいに仕上げること」であれば、それを実現できる形のロボットを考えればいいはずです。
ヒューマノイドというと、どうしても鉄腕アトムのような「何でもこなせるロボット」を思い浮かべてしまいがちですが、今のところそのレベルには達していません。なので、建設現場のロボットをあえて人型にする必要はないと思っています。役割を絞った単機能ロボットの方が実用的でしょう。建設RXコンソーシアムではこうした考えの下で開発を進めています。
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「照度測定ロボット」は実用化が目前この記事は有料会員限定です



