産業構造は、どう変えられるのか―― 建設業×AIで挑むBALLASの次のフェーズ

note / 4/16/2026

💬 OpinionSignals & Early TrendsIdeas & Deep AnalysisIndustry & Market Moves

Key Points

  • 建設業の構造変革を目的に、建設部材調達プラットフォーム「BALLAS」がAI活用で次のフェーズを進める方針を述べている。
  • 調達プロセスにおける非効率や属人的な判断をAIで補い、業務の標準化・意思決定の高度化を狙う考え方が示されている。
  • 産業構造を変えるには、技術導入だけでなくデータ連携や運用設計、現場の受容を含めた実装が重要だという論旨になっている。
  • 建設×AIを通じて、需要と供給のマッチング精度や調達のスピード・コスト競争力の改善につなげたい意図が読み取れる。
見出し画像

産業構造は、どう変えられるのか―― 建設業×AIで挑むBALLASの次のフェーズ

66

「建設業を最適化し、人々を幸せに。」をミッションに掲げ、リアル×テックのアプローチで建設業のアップグレードに挑むBALLASは、Z Venture Capital(以下「ZVC」)およびSMBC Edgeを共同リード投資家として、シリーズBラウンドの資金調達を完了しました。
本記事では、ZVCの内丸氏をお招きし、BALLASの強みや、今後の事業・組織に対する期待について、BALLAS代表の木村、CPOの遠藤を交えた三者鼎談の模様をお届けします。


対談者プロフィール


Z Venture Capital株式会社 Principal 内丸 拓様
京都大学工学部、同大学院情報学研究科修了後、General Electric(GE)を経て、経営共創基盤(IGPI)に参画。GEではヘルスケア/ エネルギー/ オイル&ガスの事業部門において経営企画・管理業務に携わり、IGPIではスタートアップから大企業までの幅広いフェーズの企業に対して事業成長/ 新規事業創出/ 事業再生の支援に従事。2022年5月よりZ Venture Capitalに参画。


建設業界におけるコマースの可能性 ―― 産業変革を見てきた投資家の視点から

木村:まずは Z Venture Capital と、内丸さんのご紹介をお願いします。内丸さんはコマース領域を切り口に、産業そのものを見にいく投資をされている印象がありますが、なぜ今その観点で産業を捉えているのか、背景を教えてください。

内丸:Z Venture Capitalは、LINEヤフーの一員としてスタートアップへの投資を行っています。

私は主に日本国内の投資を担当していますが、投資判断の軸として一貫して意識しているのが、「産業構造がどう変わりうるか」という視点です。
これまでを振り返ると、産業が大きく変わる局面には、必ず技術的、あるいは社会的な転換点が存在してきました。インターネットやスマートフォンの普及、直近で言えばコロナ禍によるEC化の加速、AIの進化、人手不足といった構造的な課題が、その都度、産業のあり方そのものを変えてきたと思います。
そうした転換点を数多く見てきた中で、いままさに次の大きな変化が起きようとしている領域の一つが、コマースだと捉えています。

木村:その視点で見たとき、建設業界という産業はどのように映っているのでしょうか。

内丸:建設業は、日本の基幹産業であり、市場規模も非常に大きい分野です。一方で、産業構造が複雑であるがゆえに、テクノロジーの浸透や構造変化には時間がかかってきました。
ただ、人手不足という課題が待ったなしの状況にあり、技術的な転換期とも重なっている今は、これまで動かなかった構造が動き始める条件が揃いつつあると感じています。

だからこそ、建設業界におけるコマース領域には、産業変革の観点で見ても大きな可能性があると考えています。

Z Venture Capital株式会社 Principal 内丸 拓様

“建設”という産業サプライチェーンを横断するBALLASの存在

木村:改めて、今回BALLASへの投資を決めていただいた背景について、お聞かせいただけますか。
どの点に可能性を感じていただいたのかを知りたいです。

内丸:大きく分けると、三つの観点があります。

一つ目は、先程の文脈である建設業界が持つ構造的なポテンシャルです。
私自身、BtoBコマース領域を見ていく中で、まだテクノロジーの導入が十分に進んでいない業界には大きな機会があると考えていました。建設業界は市場規模が大きい一方で、商流・情報・業務プロセスが分断されており、構造が変わる余地が非常に大きい領域だと捉えています。

二つ目は、経営チームの姿勢と、事業の積み上げ方です。
特に印象的だったのは、数字に対する向き合い方でした。
多くのスタートアップが調達を意識して売上の拡大を優先する中で、BALLASは「どんな売上を積み上げるのか」という点を非常に強く意識していると感じました。
短期的な規模の拡大ではなく、設計・調達・製作・施工といった業務の中核に入り込みながら、再現性のある形で価値を積み上げている。その姿勢は数字にも表れており、このチームは事業に本気で向き合っていると感じたポイントでした。

三つ目が、流通の中心を取りにいくポジショニングです。
建設業界において、設計から調達、製作から施工へとつながる流れの中核を押さえられるポジションは限られています。BALLASは、特定の機能やプロダクトに留まらず、産業全体の流れを横断しようとしている点が特徴的でした。
このポジションを取れる会社は、単に一つのサービスが伸びるという話ではなく、産業構造そのものに影響を与えながら、非常に大きなスケールへと成長できる可能性があると考えています。

BALLAS CEO木村、CPO遠藤

リアル産業にAIを実装する ―― スケールするプロダクトの定義

遠藤:AIが急速に普及する中で、産業変革に向けた取り組みは広がっている一方、スケールに苦戦しているプロダクトも少なくないと感じています。内丸さんは、そうしたプロダクトにどのような共通点があるとお考えでしょうか。

内丸:
AIの波はまだ始まったばかりという側面もあり、「うまくいく・いかない」をこの時点で断定するのは難しいと思っています。
ただ、その前提に立った上で見ていくと、ここ最近、特に厳しさに直面しているスタートアップには、いくつか共通した傾向があるように感じています。
一つ目は、クライアントの業務の本質的な部分にまで入り込めていないことです。

いまは、ある程度の機能を持ったSaaSであれば、顧客自身が生成AIを活用して内製化できてしまう時代になっています。だからこそ、プロダクトが業務フローの一部として深く組み込まれ、「それがないと業務が回らない」存在になれているかどうかが、非常に重要な分かれ目になります。

二つ目は、データが循環していないことです。

データを蓄積するだけでなく、そのデータをAIなどで活用し、顧客にフィードバックとして返し、業務体験を継続的に向上させていく。このサイクルが回っていないと、顧客は他社サービスに簡単に乗り換えてしまいますし、場合によっては自社で内製化してしまうこともあります。
こうして見ていくと、スケールの局面で問われるのは、プロダクトがどれだけ業務の中核に入り込めているか、そしてその過程で生まれる固有のデータを、価値として顧客に還元できているか という点に集約されると思います。
この二つが十分に満たされないままでは、今後さらに競争が厳しくなっていくのではないかと感じています。

遠藤:プロダクトが業務の中に入り込むことで結果としてデータが蓄積され、そのデータを活用してAIによる新たな価値提供につなげていく。そうした循環を作れるかどうかが重要ということですね。

内丸:そうですね。最初から業務全体に関わることは、スタートアップにとって現実的ではないと思います。

ただ、一部の業務からスタートしたとしても、そこから業務全体へと広がっていく余地を持てるかどうかは、BtoB領域では非常に重要です。
その過程で、現場起点で設計されたプロダクトを通じて固有のデータが自然に蓄積され、顧客にとって「このデータがなければ業務が成立しない」と感じていただける状態を作れるか。

技術はもはや前提条件であり、それ以上に業務理解の深さと、長期的に価値を提供し続けられる持続性が、勝ち残るプロダクトの条件だと思います。

AIによる業務改善効果40% ―― 歴史ある産業をアップグレード

遠藤:建設のような歴史ある産業を変えていくうえで、特に重要だと感じていることは何でしょうか。

内丸:大きく二つの視点のバランスだと思います。

一つは最新技術を本質的に理解すること。
もう一つは、現場の業務や課題を深く理解することです。

長い歴史を持つ産業では、これまでのやり方が最適解として機能してきました。そこを理解せずに新しい技術だけを持ち込んでも、構造的な変化は起きません。

顧客に寄り添う視点と、テクノロジーの視点。

その両立が重要であり、そのバランスを実践できている点に、BALLASの強さを感じています。
遠藤:産業を変えるには、実行する組織のあり方も重要ですよね。

内丸:その通りです。
エンジニアが技術だけを追うのではなく、顧客の業務を理解し、業務の中に技術を組み込んでいく。建設業のようなBtoBの大規模産業では、そうした現場起点で動ける組織を作れるかどうかが、成果を大きく左右します。

木村:BALLASでは、プロダクトだけでなく組織も「モジュール化」することを意識しています。汎用化できる部分を切り出し、そうでない部分を柔軟にカスタマイズする。その分解と組み替えの発想こそが、私たちらしさだと考えています。

遠藤:実際、AIによる業務効率化によって、これまでに30〜40%ほど工数を削減できています。さらに生産性を高めていきたいですね。

内丸:そこは非常に重要なポイントだと思っています。今後は、AIネイティブなプロダクトだけでなく、AIと一緒に働くことを前提とした組織に進化していくことが求められます。
BALLASは、AIを業務に自然に組み込んでいくことに適した規模感の組織です。
木村さんが組織、遠藤さんがプロダクトを見ながら、両輪でAIネイティブな会社へと進めていければ、建設業の産業構造を変えるど真ん中の存在になれると確信しています。

木村:最後に、これから建設業界で挑戦する方々へのメッセージをお願いします。

内丸:建設業は社会を支える重要な産業であり、課題が多いからこそ大きな変革の可能性を秘めています。ぜひこの変化のタイミングを前向きなチャンスと捉え、思い切って挑戦してほしいですね。そして、その挑戦の輪が少しずつ広がり、日本の建設業がさらに進化していくことを期待しています。

動画版はこちら




ダウンロード
copy

いいなと思ったら応援しよう!

チップで応援する

この記事は noteマネー にピックアップされました

66